1回3000万円超す高額新薬 公的保険への影響は?

ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑氏の研究成果から生み出されたがん免疫治療薬「オプジーボ」
ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑氏の研究成果から生み出されたがん免疫治療薬「オプジーボ」

1回の投薬で3000万円を超える新薬が出てきて、公的な医療保険でカバーされると聞いたわ。こんなに高額の薬を対象にして、財政的に大丈夫なのかな。

高額薬の公的保険への影響について、藤井智子さん(60)と帯刀美晴さん(46)が山口聡編集委員に話を聞いた。

――なぜそれほど高額の新薬が出てきたのですか。

白血病の治療薬「キムリア」のことですね。価格(薬価)は3349万円にすると決まりました。まずは価格の決まり方から説明しましょう。

ドラッグストアなどで売られる市販薬と違い、医師が処方し、健康保険などの公的保険が適用される薬は国が価格を決めることになっています。すでに似たような薬がある場合はその薬価がベースになりますが、そうでない画期的な新薬などは、原材料費や研究開発費といった原価、製薬会社の利益分などを積み上げて価格を決めます。キムリアは後者です。患者の血液を加工し、再び患者に戻すという手間がかかることや、巨額の開発費をかけたことから超高額になりました。

数年前には高額薬として、がん治療薬「オプジーボ」が話題となりました。当初の価格では、成人男性の患者が1年間使うと約3500万円もかかるとされました。

――健康保険の対象とするかはどう決めるのですか。

ヒトに投与する試験(治験)で有効性や安全性を確認できた薬であれば、基本的に健康保険の対象になります。ただそのような薬の中でも、予防のためのワクチンや育毛薬など生活改善を目的とした薬は公的保険の対象とはならず、原則として患者の自費で購入する必要があります。

試験をクリアした治療のための薬なら、価格が高くても健康保険でカバーされます。もし高額だから公的保険の対象にしないことにすると、所得の高い人しかその治療法を使えなくなります。公的保険の対象となれば、患者の自己負担は医療費の1~3割で済み、それでも高額になる場合はさらに負担を軽くする仕組みがあります。キムリアを使っても患者負担は最大で60万円程度です。残りは健康保険料や税金で賄われます。

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