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期日が迫ってもなかなかブレンドが定まらなかった

期日が迫ってもなかなかブレンドが定まらなかった

サントリースピリッツの名誉チーフブレンダー、輿水精一氏の「仕事人秘録」。第7回ではブレンドで妥協してしまった、過去の苦い経験を振り返ります。

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1997年と98年に実施された酒税改正で、ウイスキーにかかる税率が下げられた。人気回復を狙い、新製品開発の命が輿水氏に下った。

このチャンスを逃したらダメだという思いはとても強かった。社内でもここで巻き返したいという機運が高まっていた。チーフブレンダーとなって初めて世に出す商品にもなる。責任が重くのしかかる中で開発が始まった。

「膳」のヒットで和のテイストをしたウイスキーという市場領域をつくり出せた。これをもっと伸ばしたいと考えた。「膳」は1000円ほどだが、もっと高級な価格帯で和を訴求する商品を想定した。私の中で風味のイメージもあり、新しい製法や原酒をもとにこれまでにない味わいをつくり出そうとした。

しかし、試作を繰り返すものの、求める水準になかなか到達しない。締め切りが目前となっても調合が定まらなかった。追い込まれ、焦りも募った。だんだん、これでも満足して飲んでくれるお客様はいるだろうと思うようにもなっていった。最後は「まあ、これでいいかな」と中途半端な気持ちのままブレンドを決めてしまった。

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