ひらめきブックレビュー

プラスチック消費を8割減らす 効果が高い6つの行動 『プラスチック・フリー生活』

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冷たい飲み物が欲しくなる季節だ。コンビニに立ち寄って、プラスチックカップに入ったアイスコーヒーを買う人も多いだろう。だが、何気ないこの行為のてん末を知れば、コーヒーの味わいも変わるかもしれない。

本書『プラスチック・フリー生活』(服部 雄一郎訳)は、近年世界的に注目されている「プラスチック汚染」を理解するための知識をまとめた一冊。環境保護ビジネス起業家であるシャンタル・プラモンドン氏とジェイ・シンハ氏が、プラスチックの作られ方や使われ方、環境汚染との関係、健康への危険性などを客観的データとともに解説。プラスチック汚染を食い止めるために「あらゆる場面でプラスチックを使わない」(プラスチック・フリー)生活を掲げ、そのための心構えやノウハウを示している。

■プラスチックは私たちの健康を脅かす

毎年、大量のプラスチックゴミが陸から海洋へと流出し続けている。海中のプラスチックは小さな破片に細分化。微細なプラスチック粒子を魚が餌と間違えるなど、生態系を揺るがす事態となっている。

プラスチック汚染が進むのは自然環境だけではない。私たちの健康にも影響を与えていると著者は指摘する。実はプラスチックは実用性を高める目的で、多くの化学物質が添加されているそうだ。着色剤、芳香剤、抗菌剤、難燃剤、可塑剤……これらの添加物は、プラスチック本体と化学結合しておらず、容易に染み出しやすいのだという。熱や経年劣化にさらされればいっそうだ。飲食物の入ったプラスチック容器は電子レンジに入れてはいけない、と著者は強調する。

本書では代表的な15種のプラスチックと、添加される化学物質を紹介している。例えば携帯電話の本体部分にはポリカーボネートというプラスチックが使われているが、ポリカーボネートは製造時にBPAが添加される。BPAは内分泌かく乱物質(環境ホルモン)として人体への影響が懸念されているという。

■簡単で効果絶大な6つのアクション

ではプラスチックを避けるために、何から始めればいいか。本書が薦めるのは「簡単で効果絶大な6つのアクション」。以下のプラスチック製品の代わりに、マイバッグやマイカップ、マイストローなどを持ち歩くというものだ。うまくいけばこれで生活のプラスチックごみが8割近く、削減できるのだという。

・レジ袋
・ペットボトル
・プラスチックコップ&ふた
・プラスチック製の食品容器
・プラスチック製のナイフ・スプーン・フォーク
・プラスチック製ストロー

他にもガラス瓶や布を活用した食材の保管方法など、「プラスチック代わり」の具体的なアイデアが満載。使い捨てをやめ、モノを工夫しながら大切に使う生活はなんだか楽しそうだ。折しも7月は世界177カ国で脱プラスチックが応援される「プラスチック・フリーの月」。この機会に、本書を手にとってみては。

今回の評者 = 安藤奈々
情報工場エディター。8万人超のビジネスパーソンに良質な「ひらめき」を提供する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」編集部のエディター。早大卒。

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