レジ袋有料化、なぜ急に? 海洋プラごみ対策後追い

太郎さん ペットボトルなどの分別回収も進み、日本はリサイクルの先進国だと思っていました。

石鍋さん プラごみ問題に限れば、全く違います。国内プラごみの86%は有効利用していると政府は説明しますが、大半は発電などのための焼却で国際的にはリサイクルに含めません。それを除くと有効活用率は2割台で、3割台のドイツや英国を下回っています。レジ袋についても、06年の容器包装リサイクル法改正時に有料化が検討されましたが、一部流通業の反対で見送られました。

対照的に海外では近年、一気に脱プラスチック政策が進んだのです。16年の世界経済フォーラム(ダボス会議)でこの問題が報告され、18年には欧州委員会が脱プラ戦略を公表。同年6月のカナダでの主要7カ国首脳会議(G7サミット)でもプラごみ対策の憲章が議題になりましたが、日本と米国は署名を見送りました。

この間、中国は17年にプラごみ輸入を禁止。同様の措置は東南アジアにも広がり、プラごみは緊急の課題になりました。行き場のないプラごみの山から火災が起き、今月に大阪で開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)でも議題になるため、日本も明確な対策を打ち出す必要に迫られたのです。レジ袋対策がバタバタと進んでいるのも、外国に「やってる感」を示すためともいえます。

太郎さん 遅まきながらでも先行する国と同等の対策を取ればいいのでは。

石鍋さん ニッセイ基礎研究所が5月に発表したリポートは日本がこの問題で「後手に回った」ことを惜しむ内容でした。脱プラは世界の趨勢。関連産業は衣食住、農漁業、輸送機械、家電に家具、生活雑貨と幅が広い。脱プラを進めれば産業界も消費者もコスト増や利便性の減少など「痛みを伴う可能性」は高いが、ルール作り、新産業育成、新商品開発では、早く転換した国ほど「ゲームチェンジ」での主導権を握ることができるからです。

フランスなどは厳しい脱プラ政策を進めることで新産業育成と主導権の確保に舵(かじ)を切りました。日本の政府や産業界も、レジ袋有料化でアリバイを作るだけでなく、長期的な視点から脱プラに力を入れるべき時といえます。

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