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先代の稲富チーフブレンダー(左)について技術を磨いた

先代の稲富チーフブレンダー(左)について技術を磨いた

サントリースピリッツの名誉チーフブレンダー、輿水精一氏の「仕事人秘録」。第5回ではブレンダーの仕事を始めた時期を回想します。

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ウイスキーの製造現場をよく知る人材にブレンダーをやらせたいと考えた経営幹部は、輿水氏に白羽の矢を立てた。

山崎蒸溜所での勤務が長くなり、そろそろ異動かなと思っていたが、ブレンダー室に行くとは思ってもみなかった。当時は何となくベールに包まれた印象があり、ブレンダー室がどこにあるのかさえ知らない社員も多かったほどだ。現場の技術者からみると特殊な存在だった。

「私にできるでしょうか」。辞令を渡され、工場長にこう話したことを思い出す。生産現場では私も原酒の品質を確認するためテイスティングし、自らの仕事の良しあしを判断してきた。しかし、ブレンダーは原酒をどの商品にどう使うかといった視点で評価する。ブレンダーが求める品質を満たしているか、足りなければどうするかと考える製造技術者とは全然違う。

1991年、課長としてブレンダー室に入った。41歳だった。社内の会議に出ると部署を代表して意見を言わないといけない。商品や原酒のテイスティング評価も求められる。私には設計部門であるブレンダー室と製造部門をうまくつなげて、円滑に生産するための管理が仕事だという思いがある。しかし、他部署は私を品質評価者と見る。技能もほぼゼロの状態で、とまどいの連続だった。

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