1位は「肉巻き」 我が家自慢のおにぎりランキング
肉巻き、ピリ辛、チーズ入り――。行楽シーズンを前に「我が家自慢のおにぎり」を読者から募ったところ、工夫を凝らしたものが多数集まった。その中からおすすめのものを専門家に選んでもらった。
宮崎の名物、肉巻きおにぎりの家庭版で、ゆずこしょうをアクセントにする。子どものいる家庭では量の加減を。牛肉を使うと豪華になる。
▼作り方 (1)炊飯器に米1合と3倍濃縮のめんつゆ大さじ1、ゆずこしょう小さじ2/3を入れ、1合分の表示まで水を注いで炊く (2)俵型のおにぎりを作り、1個に2枚ずつ豚肉を巻く (3)フライパンにサラダ油小さじ1を熱して(2)を焼く (4)焼き色が付いたら余分な油を拭き、しょうゆ大さじ1や酒、みりん各大さじ1/2、砂糖小さじ1/2を加えて煮絡めて、白ゴマを振る
▼ひとこと 「すき焼き風の甘辛さと照り、ツヤのあるお肉がゆずこしょうのピリッと利いたご飯に合いそう」(堤洋平さん)「冷めても味がしっかりついていてよい」(右近由美子さん)「ゆずこしょうがさわやか」(高橋由紀さん)
焼き肉を具にした食べ応えのあるおにぎり。ピリ辛の簡単な液に漬け込んだ青ジソの風味が全体の味を引き締め、食欲をそそる。ラップに包むと、持ち歩きやすく、食べやすい。
▼作り方 (1)しょうゆ、コチュジャン各小さじ1/2、ごま油少々をよく混ぜ合わせた液を作って青ジソ4枚に塗り、保存容器に重ねて入れ半日ほど漬け込む (2)フライパンで牛肉30グラムに焼き肉のタレをつけて焼く (3)小さめに切った肉を白飯の真ん中に具として入れてにぎり、(1)で包む
▼ひとこと 「青ジソを漬け込むのがポイント。甘辛の焼き肉との相性がよさそう」(きじまりゅうたさん)「肉のたんぱく質がプラスされて栄養価の高いおにぎり」(馬場真佐美さん)
市販の小魚とナッツのスナックを混ぜる独創的なおにぎりで、熱々の白飯に混ぜて作り、時間が経つと小魚とナッツはしっとり、チーズはとろっとした食感になる。
▼作り方 (1)袋の上から粗く砕いた小魚とナッツ約25グラムを熱い白飯に混ぜる (2)手に軽く塩を付けて(1)を乗せ、具として40グラムを4等分にしたカマンベールチーズを入れてにぎる。中にみそを入れて味に変化をつけるほか、煎ったいりこやクルミ、クリームチーズなどを使うアレンジも
▼ひとこと 「ユニーク、栄養たっぷり、簡単」(越川藤乃さん)「ご飯と具の異なる食感が楽しめるうえ、かむ回数が増えて食べ過ぎ防止効果もある」(馬場さん)
ゴーヤ独特の苦みが苦手な人にもおすすめ。
▼作り方 (1)ゴーヤを縦に切り種とワタを取る。2~3ミリ幅に切り熱湯でサッとゆで、水気を絞る (2)鍋に(1)と砂糖大さじ4、しょうゆ大さじ2、酢小さじ2を入れて煮絡め、汁気がなくなったらカツオ節5グラムと白ゴマを加え混ぜる (3)白飯の中央にのせて具としてにぎり、のりを巻く
▼ひとこと 「ゴーヤをつくだ煮にすれば食べやすくなり、ビタミンCもとれる」(赤堀博美さん)「疲労回復効果のある酢を使っている点もいい」(越川さん)
鶏肉のピリ辛みそはさっぱり。持ち歩きはラップに包んで。
▼作り方 (1)フライパンでごま油小さじ1/2を熱し、鶏ひき肉50グラムをいためる (2)色が変わったらみじん切りにした長ネギ4センチ分、みそ大さじ1、トウバンジャン小さじ1/4を加え混ぜる (3)白飯をにぎってのせる
▼ひとこと 「肉ネギみそは意外とおいしく、手軽にできる」(右近さん)「多めに作っておくと常備菜にもなる」(島本美由紀さん)
青ジソがさわやかな風味を出し、熱々のうちに作るとチーズの角が取れ、白飯になじむ。
▼作り方 (1)カツオ節2グラム、5ミリ角に切ったプロセスチーズ30グラム、細切りにした青ジソ2枚、しょうゆ小さじ1を混ぜる (2)白飯に(1)を混ぜ合わせて握り、のりを周囲に巻く
▼ひとこと 「カツオ節とチーズの組み合わせはおいしい。青ジソでさっぱりとする」(栗田潤子さん)「カツオ節とチーズは相性抜群。アボカドを混ぜてもよさそう」(きじまさん)
▼作り方 (1)白飯にすし酢大さじ1を加え、混ぜる (2)焼きほぐしたシャケの切り身1/2尾、塩もみした輪切りのキュウリ1/2本、みじん切りしたミョウガと青ジソ各大さじ1、白ゴマ適量を混ぜる (3)俵型などににぎり、のりを巻く
▼作り方 (1)グリーンアスパラガス2本を熱湯でゆでて5ミリ幅に切り、白飯に混ぜる (2)手に軽く塩を付けて(1)をにぎり、軽く冷ます (3)マヨネーズとしょうゆ各大さじ1を混ぜ、(2)の表面に付けて焼く。表面が乾いたら再度塗って焼く
▼作り方 (1)揚げ玉大さじ4と小口切りにした万能ネギ、3倍濃縮のめんつゆ各大さじ1を混ぜる (2)白飯に(1)を混ぜてにぎり、のりを巻く。のりの代わりに青ジソで巻けば後味がさっぱりする
▼作り方 (1)白飯に種を抜いてたたいた梅干し1個分や枝豆40粒、みじん切りにしたミョウガと青ジソ各大さじ1、白ゴマ適量を混ぜる (2)小さめににぎり、好みで缶詰のさんまやいわしのかば焼きをのせる
■食べ応えある肉の具
おにぎりは日本が誇るファストフード。弥生時代の遺跡から炭化したおにぎりの化石が見つかっているほどで、食材や調味料、調理法を変えれば組み合わせも無限だ。
ランキングでは食べ応えがある「肉系」が1位、2位になったほか、しっかり水切りした青ジソやミョウガなどで香りを添えたりするものが並んだ。「彩りがいいと栄養バランスも良くなる」(赤堀博美さん)といい、工夫次第でお弁当の主役になりそうだ。
読者から集まったレシピ全体では、具にチーズを使うもの、のりの代わりにとろろ昆布、薄焼き卵などで包むおにぎりが目立った。
持って出かけるおにぎりは「具の味付けは塩分や糖分を濃いめに。酢や梅を混ぜると保存性は高まる」(相澤菜穂子さん)。「時間が経つとご飯は締まるのでやわらかくにぎること」と話すのは右近由美子さん。右近さんの店では手のひらにご飯をのせ、空気を入れながらふんわりとにぎり、4回転ほどさせて形を整え、のりで全体を包む。
行楽にはおにぎりシートが役立ちそうだ。アンケートでは「コンビニエンスストアの商品のようにおにぎりとのりを別に包めて、食べるときにパリパリした食感が楽しめるシートを使う」という声が多かった。しっとり感を好む人向けには、ご飯の乾燥を防ぎつつ余分な水分を逃がす専用シートも市販されている。
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表の見方 数字は選者の評価を点数化。作り方は読者のレシピを集約し、料理研究家の島本美由紀さんと再構成した。材料はおにぎり4個分で、1位(5個分)を除き白飯は茶わん2杯分を使う。
調査の方法 8月下旬、日経生活モニターに家庭で作る家族や友達に好評なおにぎりを聞き、59品に集約。9月上旬、おにぎりに詳しい料理研究家や管理栄養士ら10人に、ユニークさや栄養バランスのよさ、食べてみたいなどの視点で15品選び、さらに10品まで順位を付けて選んでもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
相澤菜穂子(管理栄養士、あいね代表)赤堀博美(赤堀料理学園校長)▽右近由美子(おにぎり専門店ぼんご女将)▽きじまりゅうた(『朝15分でできる丼弁当』著者)▽栗田潤子(おむすび権米衛商品部マネージャー)▽越川藤乃(ベターホームのお料理教室講師)▽島本美由紀(料理研究家)▽高橋由紀(ABC Cooking Studio商品・教務部)▽堤洋平(ローソン商品・物流本部米飯部)▽馬場真佐美(神奈川県立精神医療センター栄養管理科長)
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