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梶原しげるの「しゃべりテク」

我が師・上岡龍太郎 そして高橋英樹と愛川欽也の教え

2019/6/27

■「上岡学校」で教わったこと

たとえば上岡さんがこんな風に話を切り出す。

上岡「昨日の夜、東京の街を歩いていたら、酒に酔った連中が僕を見つけて声かけてきよった。『よ! 上岡龍太郎、頑張れ』。僕は言うてやった。『お前が頑張れ! こんなところでフラフラしてて妻と子供は泣いてるぞ』って」

こんな上岡さんの体験談をきっかけに、出演者のそのまんま東さん、大竹まことさん、秋野暢子さんが自身の体験を交え、互いをツッコミあったり、膨らませていったりする。

時々、番組には関係ない人まで飛び入り参加して「楽屋の座談」は、さらにヒートアップする。「人見知りで気弱なアナウンサー」も、気がつけばちゃっかり座談に加わっていた。

あるとき上岡さんに、またまた、おそるおそる尋ねたことがある。

梶原「あのー、今の上岡さんの話、これ、ラジオで話しちゃっていいですか?」

上岡「もちろん! 楽屋話に著作権なし。おもろい話はみんなで共有したほうが盛り上がってええ」

この「上岡学校」で学んだことは、その後のアナウンサー人生に大きくプラスとなった。

■俳優・高橋英樹さんが見せた「主役の振るまい」

時は下って50代。高橋英樹さんが司会する、夜の生番組に週1回、数年間にわたって、出していただいた。

日活で映画俳優としてデビューし、以後、時代劇「桃太郎侍」をはじめ、たくさんの映画や番組に出演し、日本を代表する俳優として活躍。今や俳優の枠にとらわれず、バラエティーから司会までこなすオールマイティーな存在だ。

初めてお目にかかったときは、その「目力」と「オーラ」に圧倒された。大先輩に失礼があってはいけないと強く感じた。

ところが私の役割は、高橋さんの司会進行を「妨げる役どころ」だったのだ。生放送であっても、ニュース番組同様、とりあえずの進行台本はある。ところが、そもそも生放送は想定台本どおりには進まない。台本上はVTRに行くべきところで、事態が急変することもしばしばだ。「視聴者からの有力情報」となれば、私は番組の流れをさえぎって、「高橋さん!」と、忖度(そんたく)なしで会話に割って入る。

「失礼にならないだろうか?」。気の弱い私はくだらないことで少し悩んだ。しかし、生放送終了後、会議室で行われる「反省会」で高橋さんはこうおっしゃった。

「生なんだからキレイキレイに作り込まず、荒削りなダイナミズムを優先すべきだ。事態は常に動いている。生放送を見ている視聴者は今その時、動いているものに関心を寄せる。変化があったら、どんどんぶち込んでほしい」

会議での高橋さんは、スタッフへの注文やダメ出しで終わらず、話の最後では、スタッフの頑張りを具体的に指摘し、エンカレッジした。「主役の振るまいとはこういうものか」と目の前で教えられた。

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