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研究センターで樽の知識が財産に(後列右から2番目が輿水氏)

研究センターで樽の知識が財産に(後列右から2番目が輿水氏)

サントリースピリッツの名誉チーフブレンダー、輿水精一氏の「仕事人秘録」。第4回では、ウイスキーの貯蔵や熟成のメカニズムを研究した時期を語ります。

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多摩川工場長の意外な言葉で思いがけず研究センターへ異動する。

ある日、多摩川工場長で役員の中崎日出男さんが私を見付けて「今、何をやっているんだ」と聞かれた。説明すると「そんなのわしでもできるやないか。技術屋のやる仕事じゃない」と言われる。「ここにいてはダメだ」と、研究センターへ行くことになった。研究職を希望していたわけではなかったので驚いた。

研究センターは大阪府島本町にある山崎蒸溜所のすぐ近くに置かれている。配属された「第5研究室」は、新製品開発や既存商品の改良などに、直接はかかわらない領域を研究課題にしていた。

テーマは時々のニーズに合わせて室長から指示されたが、それをどうこなしていくかは研究者に任されており、比較的自由な雰囲気の中で取り組めた。工場で使う水の完全リサイクル技術など環境対策にもなる進んだ研究も手掛けた。

そのなかでライフワークになったのはウイスキーの貯蔵や熟成のメカニズムの研究だ。樽(たる)の知見を蓄積できたのは財産になった。私の中でウイスキーと対峙(たいじ)するキャリアの方向性が定まるきっかけになったと言えるかもしれない。

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