紙幣刷新でどんな効果? タンス預金の減少は限定的か

――タンス預金はそれほど多いのでしょうか。

複数の試算がありますが、みずほ証券の上野泰也氏によると、タンス預金の規模は50兆円に近づいているとのことです。世の中に出回るお札の半分くらいの大きさです。

もともと、不良債権問題の深刻化で銀行経営が不安定になった時期に増えました。預金は不安という心理が強まったのです。日銀による低金利政策が長引き、銀行の預金金利もかなり低い水準です。自宅に保管しておいてもあまり違いはないとの考え方なども、タンス預金増加の背景にあるでしょう。

50兆円が消費に向かえばインパクトもありそうですが、上野氏は大きな効果が出ることに懐疑的です。理由は、旧紙幣も使い続けられる点です。ただ、古い紙幣だと自販機ではじかれると考えて早く使おうとする人や、旧紙幣のままお金を保管すれば税務署に怪しまれると不安を持つ人はいるかもしれません。

――キャッシュレス化との兼ね合いはどうですか。

海外の人々と比べ日本人は現金を好む傾向にあり、GDPに対する現金流通残高の比率は米国の2倍以上あります。ただ日本もクレジットカードや電子マネー、QRコードといったキャッシュレス決済が徐々に増えています。

キャッシュレスは経済を効率化するのも事実です。例えば金融機関がATMの設置を減らせばコストを削減できます。政府もキャッシュレス決済の比率を25年までに今の2倍の40%に高める目標を掲げます。今後日本でも現金離れが進むかもしれません。高額紙幣の刷新は今回が最後になる可能性もありそうです。

ちょっとウンチク

通貨発行益、国民に還元

今のお札の製造コストは1枚当たりせいぜい数十円とされるが、お札はそれより高い購買力を持つ。なぜか。発行者である日銀の資産がお金の価値を裏付けているとの信頼感もあるからだろう。この信頼を維持するため、日銀は発行の見返りにできるだけ信用度の高い資産を手に入れようとするのが普通だ。代表格が国債である。

日銀は買った国債の利息収入など利益を得る。これはお札発行による利益(通貨発行益)で本来国民のものだ。従って日銀は利益から経費を引くなどした額(18年度決算で約5600億円)を国に納める。国はそれを支出し、国民に還元する。

(編集委員 清水功哉)

■今回のニッキィ
竹林 真衣子さん 人材紹介会社勤務。やや体力が落ちてきたという自覚から、スポーツジムに週3回程度通い、ホットヨガにいそしむ。「体が引き締まってきた気がする。参加者と話すのも楽しみ」

鈴木 朋さん 医療機器メーカー勤務。最近、小学校時代の担任の退職に伴うクラス会に参加した。「参加者は働き方への考えなどについて共通点も多く、あらためて旧友の大切さに気付いた」

[日本経済新聞夕刊 2019年6月10日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。

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