マニュアルで防げるか?議員失言 お寒い「見識」映す
丸山穂高議員の発言は与野党による糾弾決議案にまで発展した
自民党が所属議員向けに発行したとされる「遊説活動ハンドブック号外」がテレビ、新聞、雑誌で「失言防止マニュアル」と言い換えて報じられ、その「マニュアル」に多くの国民から非難のまなざしが向けられている。「権力チェックの使命を担う」という立場のメディア側が仕掛けた「言い換え作戦」はまんまと成功した。
「ハンドブック」と「マニュアル」は、どちらも「案内書・便覧・手引き」という意味では変わりがないが、「マニュアル」のほうが「今風」だ。さらに「マニュアル」という「カタカナ語」が醸し出す「自分で考えず、指示されたまま唯唯諾諾と行動するだけ(本来の意味ではない)」とのイメージを想起させやすい。
某女性キャスターは「失言防止マニュアル」についての内容をまとめたVTRに続けて、「マニュアルが必要な時点で議員の資質がない」と言い放った。その夜、SNS上で「いいね」が何万も飛び交うほど賞賛されたのも、「マニュアル」という「強い負のイメージを帯びた言葉」を上手に使ってポイントを稼いだからだとも言える。
手引書が必要だった党内の事情
実は、当の自民党内でも、「失言・誤解」を防ぐための「マニュアル作成」への異論があちこちから聞こえてきたらしい。
「議員のレベルが低いから、マニュアルを作ったのだと他党から揶揄(やゆ)される」
「自民党は幼稚園も併設していますと看板をかけ直さなければならないのか」
ならば、マニュアルなどという「その場しのぎ?」は廃止して、議員一人ひとりの見識に任せたらいいのかと言えば、党内にはそうもいかない人材がウヨウヨいた。
塚田一郎国土交通省副大臣(当時)が「私が(下関北九州道路構想を進めたいという麻生太郎副総理、安倍晋三首相の意向を)忖度した」と、北九州市で開かれたパーティーの席でぶち上げ、「どや顔」を披露たところ、「利益誘導を手柄と考えるとんでも発言」と、日本全国から非難が殺到した。
「勝手に忖度(そんたく)するな。参院選が戦いにくくなったじゃないか」と激怒されたかどうかはしらないが、塚田副大臣は即刻辞任となった。