Men's Fashion

この夏狙うは一芸ポロ 小粋なこだわり、視線くぎ付け

女がときめく男の装い

ファッションディレクター 清水久美子

2019.6.9

梅雨の前からすでに熱帯。日本の夏は年々、その過酷さを増しています。そしてそれに伴い不作になるのが「……と・き・め・き」とは、昨今、恋の場数を踏んだ女性たちの新常識。特に丸の内界隈(かいわい)ではその傾向が顕著に現れ、「ときめく機会がギガ並みに、あっという間に目減りするの……」とは、つとに知られた現象です。本来ならば、恋の夏、愛の夏。なのに、昨今、夏は恋の天災シーズンとして、聡(さと)い女性たちの心をかき乱しているのです。




それはなぜかといえば、その原因は、そう、夏のファッション。秋冬であれば、ジャケットやニット、タイなど、多彩なアイテムを組み合わせて、印象アップはいくらでも仕掛けられます。けれど酷暑も本番になると、そこは人間、服などどうでもよくなるというメンタルに陥りがち。加えてベーシックなものは「雰囲気があまり変わるもんじゃなし」と、そのチョイスも投げやりに。そんなテンションの低い装いでは、それは女性のときめき回数も減るというものです。

ああ、もったいないとは、まさにこのこと。本来女性は、男性のシンプルな装いは大好物。ことにポロシャツは襟付きのきちんと感と、首の太さ、肩や腕の幅など、メンズな色気を引き立ててくれる、女心のセンサー反応抜群のアイテムのはずなのです。

ポロ1枚で良しとされるクールビズというご時世を思いっきり生かし、ときめき打率を上げる。他の輩(やから)がぼんやりと布らしきものをまとっている間に、ぶっちぎりの恋の成果を上げられるのが実はこの季節なのです。

とはいえ、「オッケー、じゃあポロシャツ、新調しよ」と足取り軽くお店に向かうのは、女心の浅瀬しか知らない、哀しい恋の釣り人の選択。お店にあまた出回っているポロの中で、明確な女性心のツボポイントがあってこそ、その評価は「……やるわね……」になるのです。

そう、ポロはポロでも、必要なのはひとひねりこだわりの効いた「一芸ポロ」。女性のセンサーが鳴りっぱなし確実のポロシャツはこちらです!

■できる!な印象を生む台襟付きポロシャツ

ポロシャツ税別67,000円(ブルネロ クチネリ/ブルネロ クチネリ ジャパン)

ここ一番のプレゼンでグッと前に行きたい時、選んでいただきたいのが、こちらのブルネロ クチネリのポロシャツ。素材の良さが生む存在感はいうまでもないですが、注目すべき一芸ポイントが、その襟。通常のポロシャツと違い、シャツ感覚の仕立てで、台襟がきちんとついたデザインなのです。なので、襟周りの立体感、ひいては顔の存在感がキリっとひきたつのが、このポロの魅力。

夏の男性の装いが、どこか物足りない印象になる原因のひとつが、その襟まわり。通常であればシャツがあり、タイやチーフがありと襟まわりのレイヤリングで顔まわりに風格を出すものですが、その技は出せないのが夏のおしゃれのネックな点。ですが、この腰高の襟があれば、顔は通常どおりのキリリ感。いかにも、できる!という雰囲気は、会議の流れも、参加している女性社員の視線も、思うがままに誘導が可能です。

さらに注目は、その袖、腰まわりのディテール。いかにも重ね着をしている感じの個性あるデザインは、1枚でも印象が決まり、その雄姿をさらに引き立てます。「……服のセンスも良いんだもん……」。襟高ポロで有利に会議を進行させる男前の、その姿に、本日も体感温度は100度超え、な熱い視線が降り注ぎます。