究極のウイスキー目指して 3年連続で「世界一」受賞サントリースピリッツ 名誉チーフブレンダー 輿水精一氏(1)

サントリースピリッツのウイスキーは相次いで世界的な受賞を果たした(トロフィーを持つ輿水氏、写真左)
サントリースピリッツのウイスキーは相次いで世界的な受賞を果たした(トロフィーを持つ輿水氏、写真左)

サントリースピリッツの名誉チーフブレンダー、輿水精一氏の「仕事人秘録」。第1回では、ウイスキーの成り立ちやブレンダーの役割などを語ります。

(2)天体観測でウイスキーに親しむ 発酵学びサントリーへ >>

サントリー(現在はサントリースピリッツ)がつくるすべてのウイスキーの香りと味に責任を持つチーフブレンダーの第4代を務めた輿水精一氏。個性が異なる膨大な数の原酒を絶妙に調合し、多くの銘酒を生み出してきた。

2008年9月。英国ロンドンで開かれた酒類コンペティション「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」のウイスキー部門で、「響30年」が最高賞「トロフィー」を獲得した。04年の初受賞以来、3年連続4回目の栄冠だ(注:サントリースピリッツのウイスキーはその後もたびたびISCで受賞を果たしている)。

ISCのアンドリュー・リード代表には「本場スコットランドのウイスキーもなし得なかった信じられない快挙」との言葉をいただいた。日本人がつくるウイスキーの品質の高さを改めて世界に示せたのは、誇らしかった。幸いにも「響」だけではなく、「山崎」や「白州」もISCをはじめ権威あるコンテストで高い評価を受けている。

日本にウイスキーが伝わったのは江戸時代末期。サントリー創業者の鳥井信治郎が日本ならではの国産ウイスキーを目指し、天王山のふもとに山崎蒸溜所を完成させた。スコッチ、アイリッシュ、カナディアン、アメリカンそしてジャパニーズ。世界5大ウイスキーと認めさせるまでに成長したことを思うと、感慨と責任の重さが胸に迫る。

輿水氏は自ら目指すウイスキーを絶対につくり上げるという強い気概を持って取り組んできた。

ウイスキーは大麦やトウモロコシなどの穀物に水や酵母を加えて発酵させ、蒸留して生まれる。出来たばかりの原酒は無色透明だが、樽(たる)の中で何年も寝かせるうちに色や香り、味を変えていく。歳月と自然がはぐくんだ原酒は大抵、クセが強く出る。時には30種類以上の原酒を組み合わせて逸品をつくり出すのがブレンダーの仕事だ。

ウイスキーをオーケストラに例えると、原酒が楽器で、ブレンダーはその個性を引き出すとともに調和のとれた音を響かせる指揮者だ。あるいは、原酒という絵の具を使って多彩な絵を描く画家とでも説明すればイメージしてもらえるだろうか。

キャリアのスタートは遅かった。先輩や同僚のブレンダーに追い付こうと必死だった。駆り立てたのは魅力あるウイスキーをつくりたいとの思いだ。ウイスキーづくりに心血を注ぐなかで感じた喜びも苦しみもたくさんあった。ここでウイスキーとともに歩んできた半生を顧みたい。琥珀(こはく)色のグラスを片手に耳を傾けてもらえればうれしい限りだ。

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輿水精一
こしみず・せいいち 1949年山梨県出身。73年山梨大工卒、サントリー(現サントリーホールディングス)入社。99年にウイスキー造りの技術トップである第4代のチーフブレンダーに就いた。「響12年」などを手掛けた。現在はサントリースピリッツの名誉チーフブレンダー。

[日経産業新聞 2008年11月11日付]

仕事人秘録セレクションは金曜更新です。

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