Men's Fashion

スポーツメーカーの軽量財布で腰痛克服

トレンド

大宮エリーの なんでコレ買ったぁ?!(6)

2019.8.16

作家、演出家、画家、脚本家などの肩書を持つ大宮エリーさんは、自称「衝動買いの女王」。二度と着ない服や絶対に使わない小物たち……つい買ってしまったトホホなあれこれは数知れません。大宮さんが日経MJに連載したコラムをもとに出版された「なんでコレ買ったぁ?!」(日本経済新聞出版社)から、ファッションにまつわる衝動買いのエピソードをピックアップしました。「あーそれ、あるある」とニヤッとしたり、「意味わからない」と突っ込みを入れたりしながら、ゆる~く読んでみてください。




これ、なに?と言われる。スポーツメーカーの財布である。小銭入れ?パスケース? いえいえ、きちんとお札が入る財布なのである。なんでコレ買ったかッ!?それは、ずばり、、腰痛になったから! 一見、ピンとこない、結び付けにくい理由である。なんで、腰痛と、このスポーツタイプの財布が関係があるのか?

◇  ◇  ◇

沖縄にいったとき、友達が私のカバンを持って言った。「エリーちゃんの荷物、重ッ」。そう、私のカバン、だいたい重い。「だから、腰痛めるんだよ」。そうなの?私は驚いた。カバンの重さが腰痛に?日々の積み重ねだと友は言う。確かに友人はというと、ものすごい軽装だった。カバンをそもそも持っていない。ポシェットひとつである。持たせてもらったが、軽ッ!「これだけ?」友人は、そうよ、と笑う。私は大きなナップザック。友人が、「いったい何が入っているの?」というので、出してみることに。でるわでるわ。アロマの瓶、パソコン、充電器、ノート、本、書類、、、。

「こんなにいる?」と友人は、心配そうに私を見た。まあそうだな。「エリーちゃん、全部軽量化したほうがいいよ、あと財布も案外重いよ」降って湧いた軽量化。私は腰痛克服のために、どんどん軽量化していった。極力持ち歩かないようにした。その挙句、私はお気に入りのボッテガヴェネタのピンクのお財布をじっと見つめた。うーむ、、、これ、運気があがる財布って言われたんだけどなあ。ピンクが今年の運気の色でそして、高い財布を持つとお金が貯まるから、財布はなるべく高級なものをといわれ、えいっと清水の舞台から飛び降りるように買ったわけだ。空港の免税店で、少し酔っ払っていたためつい買ってしまったのであるが、、。

なのに私はそれを、捨てた。ピンク色がかなりずず黒く汚れていたし。でも数秒後、もったいない!と、すぐにゴミ箱からレスキュー。ごめんごめん、と財布に謝る私。「すこし、休んでてね」カード類を出して、空っぽにし、棚にしまった。野球で言うと、ベンチ要員。それから私はアマゾンのすぐ届く便で、びしばし、スポーツタイプの財布をいくつか注文したのである。

◇  ◇  ◇

届いた財布を持ってびっくり。「軽ッ!」財布のありがたさ、ゼロの重み。不安になるくらいの軽さ。でもいいのだ。これでいいのだ。体にいいのだ。財布のお値段もゼロがふたつ取れて軽かった。で、不思議なことにあまりお金が貯まらない感じもする。なんだかそこらへんもスポーティーになっちゃうのであった。

撮影:諸井純二

大宮エリー

1975年大阪府生まれ。作家、演出家、画家、ラジオパーソナリティー、脚本家、CMディレクター。広告代理店勤務を経て、2006年に独立。著書に『生きるコント』(文春文庫)、『なんとか生きてますッ』(新潮文庫)、『なんでコレ買ったぁ?!』(日本経済新聞出版社)など。 近年は画家としても活動。

大宮エリーの なんでコレ買ったぁ?!

著者 : 大宮 エリー
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,404円 (税込み)