ライフコラム

梶原しげるの「しゃべりテク」

初対面で効く会話術 相手見ない「犬の散歩式」がいい

2019/5/23

■おしゃべりを拒む男性飼い主の心理

そんなおばさまが連れている犬もフレンドリーだ。レオとは長年の友人のように、じゃれ合い、ニオイをかぎあったりしている。おばさま方はその様子を目を細めて楽しんでいる。

リードをグイッと引き寄せて「らっ!」と声を荒らげる定年世代男性とは、ほぼ正反対。他人の犬にまるで無関心で、修行僧のような顔をして通り過ぎるマッチョさんとも好対照だ。

おばさま方からは「他者を受け入れよう」「喜びを分かち合おう」という善意がほとばしる。「わあ、かわいい!」「おいくつですか?」「男の子さん?」「お名前は?」。こういった互いの関係を近づけるキーワードから「犬友(いぬとも)」が増えるのは、大変うれしいことと私は感じる。

「笑顔」+「軽い問いかけ」こそが円滑なコミュニケーションの始まりにふさわしい。一方で、こういうやり取りを「わずらわしい」「プライバシーに土足で踏み込んでほしくない」と感じる人だっている。

「知らない人との無駄話は避けたい」

「会社や取引先など利益につながる人ならまだしも、近所の見ず知らずの人にまで気を遣うなんて、何のメリットがあるのか?」。マッチョさんや定年世代男子がそう考えるのもおかしいことではない。

彼らのビジネスコミュニケーションの始まりには名刺交換という儀式が必要だった。学校を卒業して以来、名刺交換を伴わない人間関係には不慣れだとも思われる。逆に、名刺も交換せず、事前に相手のことを知らず、とりあえず「近所の人らしい」ぐらいで雑談を成立させるおばさま方のコミュニケーション力は賞賛に値する。

あるおばさま「いえいえ、散歩で知り合ったワンちゃんのことだとはいえ、飼い主さんに、ワンちゃんの名前、年齢、性別など、プライバシーを問いただすことについて抵抗をお感じになる人だっていらっしゃると思いますよ。そういう方への気遣いとして、飼い主さんへの問いかけを、ワンちゃんへの問いかけにする人もいますね」

「え? なんですか、それ?」

飼い主への問いかけを、その人が飼っている犬に向けた問いにするって、なんだ?

ライフコラム 新着記事

ALL CHANNEL