筆記具で「私らしさ」演出 コスパと感動でヒット狙うパイロットコーポレーションの伊藤秀社長

――マーケティングで工夫している点は?

「これから大事なのはユーザーとのつながりです。ファンを意識した商品開発が必要になります。以前のように、絶対に良いものだからヒットするはずだ、というのは独りよがりとして捉えられます。ユーザーとの双方向のやり取りの中で考えた方がヒット商品につながる確率が高いです」

18年10月には銀座伊東屋で1000円で筆記具を詰め放題できるイベントも試みた

「フリクションも発売前は『筆記具は消えないものとして俺たちは追求してきたじゃないか』とフランスの(子会社の)社長と議論したのですが、彼は絶対売れると主張して実際ヒットしました。よくよく聞いてみるとフランスではニーズがあった。それに我々日本人は気づかなかった。常にお客が何を求めているか敏感になっていなければいけません」

――筆記具は技術的にはある程度まで行き着いていて、今後ヒット商品が生まれる可能性はあるんでしょうか。

「確かに技術的には相当進化しましたね。ボールペンには油性、水性、ゲルがあるわけですが、ゲルにきた時点でかなり進化しきってきたかなと。かなり限界に近いところまで来ています。あとは筆記の良さというよりは、たとえば色が面白いとか、そういうところでまだまだヒット商品の可能性はあります」

世界市場狙いメガヒットへ

――メガヒットは難しいですか。

「日本国内市場だけを捉えたときにはないんじゃないですかね。やはり世界市場を意識しないとメガヒットというレベルの数になりません」

――海外売上高比率は7割を超えていますね。

「はい、供給先は今、190ぐらいの国・地域になっています。数も年間12億本ぐらい」

――国ごとにニーズの違いはありますか。

「好まれるペンが違ったり強いブランドが違ったり、全部バラバラです。当社のペンの1人当たりの使用本数はイスラエルが世界でナンバーワンなんです。2番目がノルウェー。イスラエルは(極細字の)ハイテックCという商品がメガヒットしました。非常に宗教に熱心でまじめな方が多く、旧約聖書に教えられたことを細かい字で書き込んでいくんです」

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