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知らないと大変!ビジネス法則

人の好意に報いたい 営業なら知るべき交渉戦術の肝 第25回 返報性の原理

2019/5/15

■味見をしたら買わざるをえなくなる

私は、講演や研修やらで、ほぼ1年中全国を飛び回っています。旅先で、留守宅の家族にせめてもの罪滅ぼしにと、土産物屋をのぞくことがあります。すると、かなりの割合で、「味見だけでもしてくださいよ」と試食を勧められます。

「どうぞ」と目の前に差し出されると、受け取らないわけにはいきません。ところが、一旦食べてしまうと、試食だけで立ち去るのが悪い気がします。こんなときに、皆さんならどうされますか?

試食だけで立ち去るのは悪い気がするもの(画像はイメージ=PIXTA)

ストレートに「口に合わない」「要らない」と言えばいいじゃないか。そう思われた方、世の中そんなに甘くありませんよ。「じゃあ、こちらはいかがですか?」と次から次へと商品を勧められ、余計に身動きが取れなくなるからです。

「ありがとう。おいしかったよ」と礼だけ言って、そそくさと立ち去るのはどうでしょうか。度胸があれば、できないことはありませんが、なんとなく後味が悪くありませんかね。相手に申し訳なく、自分がイケすかない奴のような気がします。

人は、自分が受けた施しに対して、お返しをしなければと思うものです。これが今回紹介したい「返報性の原理」です。

本来、試食とは販売促進活動の一つであり、顧客が負い目を感じる必要はないはずです。その証拠に、「ご自由に味見ください」と無人で試食品が置いてあれば、申し訳なく思う人はいません。

つまり、生身の人間が声をかけて、直接手渡しするところがポイントです。対人関係が介在するからこそ、返報性の原理が働くわけです。

■相手に報いたい気持ちが芽生える

返報性の原理は、日常生活のあちこちで見られます。多くの心理学者の実験によっても確かめられています。有名な事例を一つ紹介しましょう(R・チャルディーニ『影響力の武器』)。

実験参加者を2つのグループに分けて、ボランティアのお願いをしてみました。

1つのグループは、最初に「3年間」のボランティアのお願いをして、断られた後で、「1日」のボランティアのお願いをするようにしました。それに対して、もう一つのグループは、いきなり「1日」のボランディアのお願いをしました。

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