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梶原しげるの「しゃべりテク」

冠婚葬祭のNGワード 忌み言葉に潜む「赤っ恥地雷」

2019/5/9

■葬儀の場でのNGワード

一般的な指南書には葬儀場で遺族と交わす言葉として、いくつものサンプルや手本が示されている。「誠にご愁傷様です」「この度は突然のことで、信じられない気持ちで一杯です」「残念なことで、ただ呆然とするばかりです」「驚きと戸惑いで、お慰めの言葉もございません」などが主な例だろう。

ところが、結婚披露宴のような「おめでたごと」と異なり、葬儀に代表される「悲しみごと」ではその文言を「クリアーな滑舌で発声する」「聞き手である、喪主、遺族に近づいて述べる」「意図を明瞭に伝える」というのはむしろタブーだ。

では、どうするのか? 「遺族に近づき声をかけるより、多忙な喪主に気遣い、遠くから目礼を」「取り込み中の喪主には、哀しみを分かち合う気持ち(仕草)で、言葉は慎む」。これらが指南書の教えだ。

「お悔やみを述べる」という「言葉のコミュニケーション」より「遺族の気持ちを察する、表情、態度などの非言語コミュニケーションを優先すべし」という説明が添えられることが多い。結婚披露宴では「いかに話すか」にポイントが置かれる一方、葬儀では「いかに話さないか」が重要だというわけだ。

葬儀場で避けるべきポイントとしては、「死因を尋ねない」「死因についての情報交換をしない」「通夜の席で会った知人、友人と話を弾ませない」「長居をしない」といった注意点が挙げられる。指南書の記述は「葬儀では非言語で気持ちをシェアすることを重視せよ」という教えで貫かれている。

もちろん、葬儀にも「忌み言葉」はある。「不幸の再来」を思わせる「重々」「再び」「返す返す」などの「重ね言葉」は禁物だ。死を直接表す「死亡」「死んだ」などは避けよともいわれる。むしろ「声にしない」「言葉にしない態度」を心がけるべきだと説く。

結婚と葬儀は一見、対照的だが、いずれも人生にとって、極めて重要な営みであるだけに、「よりよいコミュニケーションのありよう」を少しだけ確認しておきたい。

参照 『しっかり役立つあいさつ・スピーチ』(法研)、『冠婚葬祭とマナー大事典』(成美堂出版)、『冠婚葬祭すぐ使える実用事典』(主婦と生活社)、『冠婚葬祭大事典』(三省堂)ほか

※「梶原しげるの「しゃべりテク」」は毎月第2、4木曜掲載です。次回は2019年5月23日の予定です。

梶原しげる
1950年生まれ。早稲田大学卒業後、文化放送のアナウンサーに。92年からフリー。司会業を中心に活躍中。東京成徳大学客員教授(心理学修士)。「日本語検定」審議委員。著書に「すべらない敬語」「まずは『ドジな話』をしなさい」など。

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