冠婚葬祭のNGワード 忌み言葉に潜む「赤っ恥地雷」

セレモニー向きの「言葉格上げ」も面倒

「日常の言葉遣いを、より格調の高い、かしこまった表現にせよ」というのも、話者にプレッシャーを与える。たとえば、こういうことだ。

「きょうはおめでとうございます」という「日常語」をやめにして、「本日(ほんじつ)はおめでとうございます」と、めでたい場面では「きょう→本日」のように、言葉をより丁重な方向にシフトさせることを迫られる。

「昨日」も「きのう」ではなく「さくじつ」、「一昨日」は「おととい」ではなく「いっさくじつ」と、「常日ごろより一段、格調高い語彙選択」が求められる。言うまでもないが「さっき」ではなく「さきほど」、「あとで」ではなく「のちほど」と言わないと、「口のきき方も知らないで」とあきれられる可能性もある。

「変換を速やかに行え」と無理強いされた若者が、四苦八苦する様子が目に浮かぶ。蛇足だが、今、使用した「四苦八苦」という表現も、「めでたい席」では「最上級の忌みことば=タブー語」の1つとされているらしい。

「苦」という、「めでたさに反する語感」を持つ字が2度も繰り返されていることが理由だ。さらに、「四苦」は「49」という「忌み数字」にもつながるとの声もあるようだ。

こういう言葉遣いに加え、話す内容についての「注文」も、若者たちを「披露宴嫌い」に追い込んでいる節がある。たとえば新婦側友人がスピーチで、こう話し始めたとしよう。

友人「新婦の陽葵(ひまり)さん、ご結婚おめでとうございます。ここからはいつものように『ヒマリン』と呼ばせてくださいね。ヒマリン、おめでとう。よかったね」

よそよそしさを一瞬にして親しさに変える工夫が感じられるだけに、「頑張っているなあ」と温かいまなざしで見てあげたいが、一部の大人の中にはあからさまに顔をしかめる者がいて、傷つく人がいると聞いた。個人的で親しげな呼び掛けそのものを、「くだけすぎている」「不謹慎」ととらえる人もいるようだ。ただ、「おめでたごと」にはもう少し大らかでもいい気がする。

そんな結婚披露宴におけるコミュニケーションと、葬儀のそれは表面的に見れば、かなり異なる。最大の違いは「言語的表現で伝えることの多い結婚披露宴」vs「非言語の動作で、気持ちをシェアすることが中心の葬儀」という構図だ。

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