すべては、出逢いから俳優 高倉健

ハリウッドの流儀を教えてくれたアルドリッチ監督。監督の夫人からいただいたこの写真は私の宝物の1つ

ロバート・アルドリッチ監督は、毎朝ロケ現場に駆逐艦で通っていると聞き、日本とのスケールの違いをいよいよ実感しました。

監督は、祖父が上院議員、従兄弟(いとこ)が副大統領を務めたという名門の出。自分個人のスタジオをノースハリウッドに所有していました。

4か月にわたるフィリピンロケのために、監督専属のシェフ、マッサージ師をはじめ、あらゆる役目のスタッフが常駐。ロケ地に隣接した土地には、スタッフの余暇のために、何と6レーンのボウリング場までが作られていました。日本の映画界とは、あまりにもかけ離れた世界でした。

私の撮影はノースハリウッドのスタジオでした。ロサンゼルス空港で出迎えてくれたのは、キャデラックのリモ(リムジン)。恐れ入って乗り込むと、ショーファーが手持ち無沙汰な様子で「荷物はこれだけか?」と聞きます。指さす方向を見ると、キャデラックの後ろに荷物用のステーションワゴンが控えていました。

宿泊は、ルーズベルトホテルのキングスウィート。「明日の本読みには、気楽にこれをお召しになってください」と、わざわざ用意されていたのは、ジャンプスーツとスニーカーでした。

撮影が予定より10日間も長引いたのですが、破格の待遇に感激していた私は、アルドリッチ監督に「オーバーギャラ(追加出演料)はいりません」と申し出ました。すると監督は「大丈夫、お金の管理は銀行がやってくれているから。それにしても、おまえはいいやつだな」と、満面の笑みで私の頭をなでました。

忘れられないヘンリー・フォンダとの記念写真

私が今までに、自分からお願いして記念写真を撮っていただいた俳優が、たった一人だけいます。名優ヘンリー・フォンダ。