自分の声を味方につける 声出しで気持ちを整える

音読トレーニングが「とっさの声出し」につながる

「音読」という「泥臭いトレーニング」を通じて「音声伝達能力を高める需要」が減じるのは、だいぶ先のことになりそうだ。その音読が持つ、黙読にはない、意外なメリットについて医師の森田豊さんが書いている(以下は大意、要約)。

1)音読することで気持ちを落ち着かせる神経伝達物質、セロトニンが多く分泌される
2)音読は脳の前頭葉を刺激し、やる気を高める。情報を取り込むインプットと、声にして出すアウトプットの「両面攻撃」で脳を活性化
3)大きな声を出すことで、ストレスホルモンを減らす

こういった「様々な効果が期待される」と述べている。難しいことはわからないが、「声」には思った以上のパワーがありそうだ。

これまで、ラジオのスタジオから、生の電話で様々な人と話す機会があった。時々「あれ、いつもとちがうかな?」と、わずかな変化を感じた相手が、それからしばらくたって、体調を崩したというニュースをテレビや新聞で知るという経験が意外にある。

顔が見えなくとも、いや見えないからなおのこと、声からはいろいろなことが見えてくるのかもしれない。

「音読」で声のメンテナンスをしておくことは、身を守ることにもつながる。ラッシュアワーの駅通路で肩がぶつかった相手に、「あ、ごめんなさい」と、とっさに声が出せれば、「その後の災い」は防ぎやすいだろう。しかし、発話体験が乏しいからか、声より先に「ムッとした表情」で反応して、その後、もみ合う現場を何度か目撃した。「とっさの声出し」を可能にするためにも、「黙読」より「音読」が役に立ちそうだ。

※「梶原しげるの「しゃべりテク」」は毎月第2、4木曜掲載です。次回は2019年4月25日の予定です。

梶原しげる
1950年生まれ。早稲田大学卒業後、文化放送のアナウンサーに。92年からフリー。司会業を中心に活躍中。東京成徳大学客員教授(心理学修士)。「日本語検定」審議委員。著書に「すべらない敬語」「まずは『ドジな話』をしなさい」など。

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