「塩こうじ」で食の産業革命、世界めざす
ハナマルキの花岡俊夫社長
ハナマルキの花岡俊夫社長
今年創業100周年の味噌・醸造品メーカー、ハナマルキ(長野県伊那市)が元気だ。即席味噌汁が好調なうえ新分野の開拓にも挑み、調味料「液体塩こうじ」や「透明な甘酒」などユニークな商品を打ち出している。花岡俊夫社長は「食の産業革命を目指し世界に打って出たい」と語り、老舗の伝統だけにしがみつく気はさらさらないようだ。
――即席味噌汁だけでなく主力の味噌事業も売り上げを伸ばしていますが、その要因は?
「業界全体ではここ3年くらい若干プラスとなり、下げ止まった印象です。インバウンドの効果も少しはあるかもしれません。加工用食品に和のテイストが入ってきているのが大きいポイントかと思います。簡単に料理が作れる総菜調味料やカレーに隠し味的に使われており、それがけん引しているように思えます」
手軽なおいしさ シニアも求める
――家族一緒に味噌汁を飲むシーンが少なくなってきています。
「ごく簡単に味噌汁が飲めるとなると究極は即席味噌汁しかありませんが、家庭用味噌が売れていないかというとそうでもない。毎日は飲まないけど1週間の数日はしっかりした味噌汁を飲もうという動きがあります。一方で年齢が高ければ自分で味噌汁を作るかというとそうでもなく、簡便性も求めていますね」
――即席味噌汁の競争は激しいのでしょうね。
「即席味噌汁を一番売るところはコンビニエンスストアです。カップ入りの商品が弁当と一緒に売れていますから。コンビニのコンペでは、とにかくおいしいものを作ってくれと言われます」
「味をグレードアップするため味噌から根本的に練り直しています。即席味噌汁は味噌とだしで構成されますが、すごく奥が深い。私も開発員の一員で、社長が一番燃えていると言われます(笑)。この努力が全体の即席味噌汁のレベルを押し上げるのです」