ひらめきブックレビュー

情報共有で働き方改革 組織をうまく回すファイリング 『"オフィスのプロ"だけが知っている キングジム 人も組織もうまくまわりだす 超整理術213』

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机の上は書類の山、常に探し物に追われ、片付ける時間もない……。そんな経験はないだろうか。乱雑なデスクでは仕事の効率、モチベーションも上がらないだろう。ビジネスパーソンにとって、基本ながらも悩ましい問題が整理整頓だ。

本書『"オフィスのプロ"だけが知っている キングジム 人も組織もうまくまわりだす 超整理術213』は、ふだん後回しにされがちな整理整頓に焦点を当てる。文具メーカー「キングジム」でファイリングシステム構築のコンサルティングを行う「キングジム ファイリング研究室」が、長年培った整理のノウハウや考え方を213項目に分類してまとめた一冊だ。

■整理整頓を成功させる"7つの習慣"

整理術の基本はファイリング。つまり、必要なものを残し、活用できる状態にしておくことだ。そのために大切なのは以下の"7つの習慣"だ。

(1)捨てる
(2)立てる
(3)表示する
(4)ファイル管理表を作成する
(5)ルールをつくる
(6)道具をうまく使う
(7)意識を持つ

「捨てる」には、「見極めBOX」が有効だ。取っておくべきか迷った書類を箱の中に入れ、取り出して使ったらもう箱には戻さない。一定期間が過ぎても残ったら、不要として捨てる。

「立てる」は文字通り、書類を立てて保管することだ。横積みに比べ全体を一目で確認でき、スペース効率が良く、取り出しやすい。

(4)の「ファイル管理表を作成する」は、組織単位の取り組みで真価を発揮する。ファイル管理表は、文書の内容や置き場所などをリスト化したもので、文書自体が目の前になくても、誰もが情報を一覧できる。

■組織の作業効率を上げるファイリングシステム

本書には組織的なファイリングのコツも多く載っている。扉なしの共有棚を使った「オープンファイリングシステム」もその一つ。ポイントは、生成・収集から保存・廃棄に至る「情報の流れ」に沿った管理・運用を行うことだ。以下のようなステップをたどる。

(1)進行中の書類は「仕掛りBOX」に入れ、始業時に自席に運び、終業時は共有棚に戻す
(2)回覧物等を入れる「MAILBOX」も共有棚に配置
(3)処理終了後の書類は保管場所に収納
(4)長期保存が必要な書類は保存庫などに移す

このようなシステムを組織で構築できれば、仕事の分担が明確になる、作業効率が上がる、意思疎通がスムーズになる、などさまざまなメリットが生まれるだろう。

ファイリングがうまくいっているかどうかは「電話口から、自分の書類のありかを同僚に伝えられるか」どうかで判断できる。担当者が不在でも資料をもとに問い合わせに的確に対応できれば、業務全体もうまく回る。ファイリングとは情報を共有することで仕事を共有し、組織を維持発展させていくための手段。実は働き方改革のための、隠れたカギと言えそうだ。

今回の評者=江藤八郎
情報工場エディター。自治体職員の仕事の傍ら、8万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」エディティング・チームのメンバーも兼ねる。東京都出身。

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