孤立を防ぐ「安心宅配」 生協の道、アマゾンの対極に
日本生活協同組合連合会の本田英一会長
日本生活協同組合連合会の本田英一会長
食品宅配ではガリバー的な存在の生活協同組合(生協)。宅配供給高は増加傾向が続いているが、組合員の高齢化や人口減という課題を抱え、アマゾンなどとの競争も激しくなるのは確実だ。日本生活協同組合連合会の本田英一会長は「生協はアマゾンと対極にある。地域の問題解決に役立っていきたい」と新たな生協像を思い描く。
――1月の記者会見で「アマゾンの拡大は必ずしも消費者にとって幸せではない」という趣旨の発言をされていましたが、その真意は?
「誤解を招く発言でしたが、アマゾンはすごいと思っています。ほしいものをすぐに手に入れられることが組合員の幸せにつながるのであれば、生協も力を入れるべきです。ただ資本力、IT(情報技術)力で対抗できなければ(生協が)やる必要はありません」
「かつてはあらゆるものを売っていこうとしましたが、あえて生協が担わなくていい時代になりました。生協だからこそ絞り気味になるのではないかと思います。生協が売らなくていいものは売らなくていいんです」
――組合員のニーズは変わってきていますか。
「モノからコトへの変化です。単純に品質や価格ではなく、商品1つ1つにストーリーを添えながら提供することで組合員の心に響きます。我々は産直とか生産者との連携を大事にしています。毎週決まった時間に、担当者がお宅に伺ってオススメしたりダイレクトコミュニケーションをできたりするのはものすごいこと。宅配の強さはそこにあります」
「今は(環境や社会への影響を配慮した)エシカル商品に力を入れています。まさに生協が本質的にやらないといけなかった分野です」
多く売るより…、組合員の暮らしが第一
――価格面では生協は決して安くないですね。
「全然安くない。できれば安くしたい、これはずっと論争があります。安さと品質の問題は時代と共に変わっています。今はディスカウントストアでも健康に悪いモノが流通するわけではないので、生協の存在意義が薄れているのではとよく言われます。それはそうかなあと(笑)。ただ生協の目的はより多く売ることではなく組合員の暮らしをよくすることです」