頼んだ仕事「聞いていません」 相手に伝わらないワケ第19回 選択的注意

集中するときは集中する

一つのことに集中すると、他がおろそかになってしまう。選択的注意の欠点の方はどう対処すればよいでしょうか。

訓練を積めば、一つのことに集中しながらも、他に気を配ることができないわけではありません。とはいえ、習得に時間がかかり、生まれつき難しい人もいます。一つのことに集中するなら他には手を出さず、集中する内容を次々と切り替えるのが現実的です。

たとえば、働き方改革の一環で「集中タイム」を設けている企業があります。一定の時間、電話、メール、来客、会話といったコミュニケーションを一切禁止にして、今自分が取りかかっている仕事に専念してもらおうというのです。

これなら、他のことを考える必要がなく、余計な中断や割り込みがない分だけ、心おきなく仕事に打ち込めます。職場全体でやるのが難しければ、オフィスから隔離された「集中コーナー(席)」を用意して、没入したい人が移動する方法もあります。

これらの制度を導入した企業では、「生産性が上がった」「ミスが減った」という声が多く聞かれます。忙しいからといって、あれこれ手を出すことが、かえって効率を下げているのです。

そもそも、人は、マルチタスクをこなすようには設計されていません。にもかかわらず、雑誌を見ながらスマホ片手に会話するなど、かなり無理な生活を日々送っています。私たち現代人は、本当に大切なことに、もっと選択的注意を向けるべきなのかもしれません。

堀公俊
日本ファシリテーション協会フェロー。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカーで商品開発や経営企画に従事。1995年からファシリテーション活動を展開。2003年に日本ファシリテーション協会を設立、研究会や講演活動を通じて普及・啓発に努める。著書に「ファシリテーション入門第2版」「会議を変えるワンフレーズ」など。

堀 公俊氏・組織コンサルタントが講師を務めるスキルアップ講座/日経ビジネススクール

組織変革、業務改善に欠かせないワークショップの成果を引き出すファシリテーション能力、問題解決のフレームワーク思考力を高める

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