頼んだ仕事「聞いていません」 相手に伝わらないワケ第19回 選択的注意

激しくパスが飛び交うので、ボールと白い服を追っかけるのが大変です。それでも、正解に近い答えが出せた方がほとんどだと思います。選択的注意が働いて、余計な情報がカットされ、重要な情報に集中できたからです。

ところがそのせいで、「○○を見ませんでしたか?」と尋ねられても、多くて半数、少なくて2割くらいの人しか正解できません。今度は、一つのことに集中したために、目には入っているはずの情報が、まったくスル―されてしまったわけです。

アンテナを立てないと情報が入らない

大勢がバラバラに会話していても自分の名前や興味のある話なら聞き取れる。画像はイメージ=PIXTA

このように、選択的注意には利点と欠点の両方があります。利点に光を当てたときに起こるのが「カクテルパーティー効果」です。

カクテルパーティーのように大勢がバラバラに会話している状況でも、自分の名前や興味のある話なら聞き取れます。当たり前のようにやっていますが、機械ではまねのできない芸当です。

それを視覚に適用したのが「カラーバス効果」です。Color(色)+bath(浴びる)という意味でつくられた造語です。1分もあればできるエクササイズなので、これもやってみてください。

課題は簡単です。あなたが見える範囲に赤いモノがいくつあるか、すべて数え上げるだけです。

そう言われて周りを見渡すと、次から次へと赤いモノが目に入ってくるはずです。普段意識していない意外なところにも赤を発見して、驚くこと請け合いです。

逆に言えば、赤を意識しないと、赤いものが見えてこないのです。「妊娠すると妊婦が増える」といわれるゆえんです。人は「見たいものしか見ない」「聞きたいことしか聞かない」のです。

この話は情報収集全般にも言えます。アンテナを立てない限り、欲しい情報が入ってきません。

たとえば、顧客ニーズを探る一つの方法は、客の振る舞いを観察することです。ところが、ぼんやりと顧客を眺めていたのでは、見つかるものも見つかりません。意識的にテーマや仮説を掲げたときに、はじめて必要な情報が飛び込んでくるようになります。

この原稿もまさにそうです。今回のテーマ(選択的注意)を決めると、自然と本、新聞、雑誌などの関連する記事が目に入るようになります。何気ない会話の中にもヒントが見つかります。テーマを掲げることで、得たいものが得られるようになるのです。

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