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知らないと大変!ビジネス法則

無難か無謀か 役員会で愚かな判断が下されるワケ 第18回 集団浅慮

2019/3/19

いずれにせよ、先に述べた条件が重なると、議論が極端な方向に流れることがあり、「集団極化現象」と名づけられています。これらを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。

■集団浅慮を打ち破る一つの質問

集団浅慮の名付け親であるI・ジャニスは、「全員が批判的な目を持つ」「リーダーが最初に意見を述べない」「外部の第三者の意見を加える」「あえて反対意見を述べる役割をつくる」といった対策を提案しています。いずれも合理的な意思決定には欠かせない方法です。

しかしながら、頭で分かっていても実行するのは簡単ではありません。第3回で述べたように、全員が同じ方向を向く「メダカ集団」になりやすいのが日本の組織だからです。場の空気に抗するのは至難の技です。

そこで紹介したいのが、心理学者G・クラインが提唱する「プレモータム」と呼ばれる手法です。ほぼ会議の結論が見えてきたところで、次の質問を自分自身もしくは全員に質問をするのです。「もし、この決定が失敗するとしたら、なぜだろうか?」と。

冒頭のケースでいえば、「つじつまを合わせようと、不正に走る社員が現れてしまった」「社員に過度な負荷がかかり、メンタルをやられた人が続出した」「現場を無視した経営のやり方に社員がついていけなくなった」などの答えが考えられます。

これらが本当に起こったら、経営に対するインパクトは甚大です。ありえない結論であることはおのずと気づくはずです。それでも気づかないようであれば、もはや経営者失格です。

実際の事例では、為替変動という神風が吹いて、15%のコストダウンの話は立ち消えになり、事なきをえました。もし、あの決定にもとづいて全力で走っていたら、東芝や三菱自動車の二の舞いになっていたのではないかと、今から考えてもゾッとします。

堀公俊
日本ファシリテーション協会フェロー。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカーで商品開発や経営企画に従事。1995年からファシリテーション活動を展開。2003年に日本ファシリテーション協会を設立、研究会や講演活動を通じて普及・啓発に努める。著書に「ファシリテーション入門第2版」「会議を変えるワンフレーズ」など。

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