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無難か無謀か 役員会で愚かな判断が下されるワケ 第18回 集団浅慮

2019/3/19

心理学者I・ジャニスは、太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争、キューバ危機など、米国が直面した危機的な状況における政策決定の経緯を調査しました。そのなかで、判断の誤りや意思決定の失敗などが、なぜ起こるかを分析してこの現象に行き当たりました。

興味深いのは、当時の米国の最も有能(ベスト&ブライテスト)な人たちの集団で、集団浅慮が起こったことです。「自分達は失敗しない」という過信が生まれ、外部からの忠告や都合の悪い情報を軽視しがちになるのが原因だといわれています。

リーダーの意向に逆らえない雰囲気も集団浅慮の一因。画像はイメージ=PIXTA

集団浅慮は、冒頭のケースのように、場を支配する強いリーダーがいるときに、起こりやすくなることが知られています。リーダーによい印象を持ってもらいたくて、ご意向と異なる方向の意見が出しにくくなるからです。

加えて、集団が一つにまとまろうとする力(集団凝集性)が高いときが危険です。正しい答えを選び取るより、合意形成することが目的になり、和を乱す意見が出しづらくなるからです。「全員の意見が同じ」と思いこんで、深く議論しなくなってしまいます。

■結論が両極に振れがちになる

集団浅慮が働くと、極端に危険な結論になることがよくあります。「リスキーシフト」と呼びます。冒頭で紹介した事例がまさにこれです。

たとえば、一人ではとても言えない極端な話でも、みんなと一緒なら主張したり同調したりできます。ネットの炎上が典型的です。

節度ある大人でも、集団に紛れると過激になれます。より過激なほうがカッコよく映り、リーダーがそれを求めていればなおさらです。どんどん威勢の良い方向に話が進んでしまいます。

しかも、みんなと意見が同じだと、正しいと思いこんでしまいます。みんなで決定すると、一人ひとりが無責任にもなります。いわゆる「赤信号、みんなで渡れば怖くない」です。

逆に、極端にリスクを回避する方向に振れることもあります。「コーシャスシフト」と呼びます。

プロセスは先ほどと同じで、保守的な意見のほうが思慮深く見えるところだけが違います。どんどんとリスクを回避する無難な方向に議論が流れてしまうのです。今決断しないといけないのに、何も決めずに先送りをすることもあります。

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