大失敗を未然に防ぎたい まず取り組むべき対策は?第17回 ハインリッヒの法則

ここから言えるのは、ヒヤリ・ハットを「何も起きなくてよかった」「もっと気をつけよう」と放置しておくと、一定の確率で軽い事故につながってしまう、ということです。同じく、軽い事故を「この程度で済んでやれやれ」「とりあえず対処しておこう」と軽視してしまうと、いつかは大きな事故につながってしまう危険性があります。

つまり、重大な事故をなくすには、その事故に注目するだけでは不十分です。300件のヒヤリ・ハットをいかに減らしていくかが、大きなポイントとなります。ハインリッヒの法則の真価はまさにここにあります。

かくいう私も、大阪北部地震の後、本棚に入りきらずに積み上げてある大量の本を整理し始めました。それが、地震から半年以上たった今でも終わっていないのは、懲りていない証拠なのかもしれませんが……。

何度も同じ失敗を繰り返すワケ

工場に勤務されている方にとっては、ハインリッヒの法則はなじみの深いものだと思います。死傷事故につながるような労働災害を根絶するには、日常で起こるヒヤリ・ハットを減らすことが鍵になります。

ささいなことでもキッチリと報告や分析をして、事故の芽を摘み取っておかなければなりません。厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」には387件のヒヤリ・ハットの事例が載っており、対処する際の参考になります。

かたや、オフィス勤めの方は、自分には関係のない法則だと思われるかもしれません。そんなことはありません。ヒヤリ・ハットを顧客の不満に読み替えてみてください。

1件のクレームを放置しておくと……。画像はイメージ=PIXTA

たとえば、顧客から自社の商品に対する1件のクレームが寄せられたとします。「一例にすぎない」「大げさな人だ」と思うのは禁物。その裏には、不満に思っていても口にしない人(ヒヤリ・ハット)が、10倍も隠れているかもしれませんよ。

そういう意味では、クレームを寄せてくれた人は、いち早く危険や不具合を知らせてくれる、「坑道のカナリア」のような存在かもしれません。ないがしろにしていると、そのうちに品質問題や商品欠陥が露呈して、大きな痛手につながるかもしれません。

このように、ハインリッヒの法則は、労働災害に限らず、ありとあらゆる失敗を減らすのに役立ちます。「何度も同じ失敗を繰り返している」という組織があったら、一度この法則を当てはめて考えてみてはいかがでしょうか。