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梶原しげるの「しゃべりテク」

上司はなぜイラッとした? 言葉使いの肝はふさわしさ

2019/2/28

■上司の一言で部下がムッとする理由

報告では「ふさわしさ」を「ことばを受け取る人の気持ちへの配慮、感じの良さ」と説明している。正確に、わかりやすく、敬意と親しさを心がけても「ふさわしさ」が欠けていたら、「コミュニケーション能力のある人だ」とは言ってもらえないというわけだ。

報告の35ページにこんな記述がある。「相手への配慮よりも正確に伝えることのほうを優先し、ハッキリと物事を言ったために、感情的な行き違いが生じる場合があります」

例も挙げてある。部下が作成した書類の内容が十分でなかった場合、「このままでは受け取れない」と正確さを優先するばかりではなく、「ここと、ここを修正したら、もっとよくなるよ」や、「このまま預かってしまってもいいんだが、もう少し手を入れてみないか」と提案するようなケースを示した。相手の気持ちに寄り添った「ふさわしさ」がいかに大切かをわかりやすく説いている。

部下の仕事がおおざっぱすぎると感じた場合も「もっと丁寧に」というだけでなく、「スピード感のある仕事ぶりは頼もしいね。これからは、細かいところにも目が届くとさらにレベルアップできるよ」などと励ましの言葉を加えることによって、部下が指摘を受け入れやすくなると指摘する。

報告では「率直な言い方をする前に、相手の気持ちを和らげる一言を添える工夫もできるでしょう」とも提案している。特に目上の人に対する場合などは、いきなり自分の意見を述べるのを避け、その前に「私はまだ問題の本質を理解できていないのかも知れませんが」や「ご判断には深い理由があるのだろうと思いますが」などの「軽い前置き」を加え、相手を尊重しつつ、自分の考えを伝える技も紹介している。

■上司に「コーヒー、お飲みになりたいですか」はどこが変?

「それって、コミュニケーション能力というより、処世術じゃないの?」といぶかる読者がいるかもしれない。だが、「ふさわしさ」に配慮することは「感じのよさ」を醸し出し、職場をなごませ、取引先のウケをよくする「必須のコミュ力」に見えてくるのだ。

「公的機関が、感じがよいとか悪いとか、情緒面に介入するのは、いかがなものか?」。そんな声もあろうが、今回の報告は、そこを逃げずに切り込んだからこそ価値があると私は考える。

「ことば、文法、敬語など、間違わずに話したにもかかわらず、ふさわしさを欠いて、思わぬ誤解をあたえてしまうことがある」として、こんな例を挙げていた。

例:部下が上司に向かい「コーヒー、お飲みになりたいですか?」と尋ねることは失礼か?

報告にある調査結果では「失礼だと思う」との回答が過半数を上回っている。文法的に間違いがなく、誠意を込めても「失礼だ」「嫌な感じだ」と思わせたら、仕事の成功はおぼつかない。なぜか?

目下から目上に「願望、欲求を尋ねること」は、ふさわしくない、失礼だ、嫌な感じだと受け止められる。「ふさわしさ不足」のせいで、社の内外で問題を起こす人物を歓迎する職場があるだろうか?

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