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梶原しげるの「しゃべりテク」

50歳を過ぎて「ネット再婚」 女性精神科医の夫選び

2019/2/14

■40歳で別居、15年で離婚

結婚して卒業し医師免許を手に、精神科医としてハードな病院勤務のかたわら、あっという間に4人の年子の母親になったのが「結果オーライ」ならよかったのだが、人生、そう甘いものではないことは、すぐにわかった。

「私だけでなく、子供たちもこの夫にはまるでなつかず、40歳で別居。いろいろあって、15年の結婚生活に裁判でピリオドを打つこととなりました。未熟な私が未熟な結婚生活を送ったから、失敗したんです」

その後、成人した子供達は次々と母のもとを去っていった。「この手で子供を育てあげる」という思いが、生きるエネルギーの源であった子供たちもいなくなり、一人ぼっちになった北村さんだが、意外にも落ち込まなかった。

「一人の暮らし=悲しい」→「一人の暮らし=再チャレンジのチャンス」。こんなふうに思考の枠組みを変えることを心理学で「リフレーミング」というが、さすがプロの精神科医は見事なまでに気持ちを切りかえた。

「彼らが自分の人生を自分で生きようとしたように、私も自分の人生を生きるんだ」――。50歳を過ぎ、当時住んでいた金沢を引き払って、単身、大阪へ出て「ビル診」(医師がビルの一室を借りての診療)を始めた。

大阪に親戚知人はゼロ。ただ、一人だけ、パソコン通信で楽しむ囲碁仲間が大阪にいることを、後で知り、多少のタウン情報を得ることはできた。逆に言えば、知り合いは、たったそれだけ。

だからなのか、「診察」と「パソコン通信囲碁」に明け暮れていた大阪で、北村さんはこみ上げてくる思いを抑えることができなくなったらしい。

「もう1度、ちゃんとした幸せな結婚がしたい」。北村さんは精神科医ゆえ「ゲシュタルト療法」で知られる「未完の行為」(過去にやり残したり、できずに放置していた課題を、後に完遂させることで心理的な問題を解決に導く技法の一つ)を完遂させるのだ、とお思いになったのかもしれない。

■「ネットお見合い」でパートナー探し

囲碁で身近な存在だった「パソコン通信」で「ネットお見合い」のサイトを開いてみたら、1万人を超える人々が登録していた。登録してわかったのは、当時52歳だった北村さんは、女性部門でダントツの最高齢者だったことだ。男性を見ると、2人いた最高齢はどちらも47歳だった。

「とりあえず、年が近い2人に連絡を取ってみよう」。まず和歌山在住の男性に送ったメールの返信はこうだった。

「6歳も年上の女性ですか。お茶飲み友達ならOKです」

北村「メールのちょっとした語彙選択で相手の気持ちが見えてくるんです。『茶飲み友達なら』って『その気の無さ』が見え見えで、キツいなあと感じました」

バリバリの精神科医は文脈を読み解く名人でもある。もうひとりは山梨の人で、こう返信してきた。

「良いお付き合いになったら良いですねえ」

北村医師はその場で声を上げた。

「この人だ!」

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