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梶原しげるの「しゃべりテク」

50歳を過ぎて「ネット再婚」 女性精神科医の夫選び

2019/2/14

「ネットお見合い」で北村さんがパートナー探しを始めたのは、50歳を過ぎてからだった。写真はイメージ=PIXTA

山梨県韮崎市郊外の丘に建つ、精神科医療を中心とする「韮崎東ケ丘病院」は一般的な「病院」のイメージを超えた斬新なデザインで知られている。それもそのはず、今の建物は、あの京都駅ビルや梅田スカイビルなどを手掛けた世界的な設計家、原広司さんがかかわわり、施工は大林組。そのユニークな外観を見ようと、遠方からやってくる診療目的外の見学者も少なくないようだ。

ひょっとしたらその建物以上に「ユニークで魅力的」な存在は、病院長を務める北村絢子さんなのではないかというのが直接お話しして感じたことだ。

金沢大学医学部を卒業した後、一貫して「精神科医」として診察室で患者さんの声に耳を傾け続けてきた北村さん。病院長を務める今も変わらず、日々、大半の時間を診察室で患者さんと過ごしている。

と、ここだけ取り出せば「聖人君子的な近寄りがたいイメージ」を思い描く人がいるかもしれないが、実際の北村病院長はごく普通の、世話好きな近所のおばちゃん然としている。

■大学に入ってすぐに受けたプロポーズ

我々の会話はこんな話からスタートした。

北村「70歳を過ぎて、先日生まれて初めて電機掃除機を買いました。持ち手の柄が短くて『案外、使いづらいなあ』と腰を曲げ、苦しい姿勢で床を掃除しているのを見た友人が言うのよね」

梶原「え?」

北村「それ、好きな長さに伸ばせるのよ、って」

梶原「知らなかった?」

北村「学生結婚して、すぐに年子でポンポンポンと子供が4人産まれ、狭いアパートで足の踏み場もなかった。掃除機使うほど余裕のある部屋に住むチャンスがないまま、いろいろあってそういうことに気が回らなかったのね」

「いろいろあった」の最初が、大学に入ってまもなく、ある男性から「君、僕と結婚しよう!」という、唐突でいきなり切り出されたプロポーズだったらしい。

若気の至りで、頭に血が上り、こう口走る若い男性がいたとしても、世慣れた女性なら、軽く聞き流したり相手にしないのが普通だが、彼女は男子学生と手を握るどころか、言葉を掛けあったことさえないほど、うぶで世間知らずだった。

「何をおっしゃっているんですか?」とか、「気は確かですか?」などの、拒否を上手に伝える言葉が見つからないまま、話は相手ペースでどんどん進んだ。

「ここまで熱心なお誘いをどうお断りしたらいいものか」とぼんやりしたままズルズルと事態は進展。結果的には彼の「催眠商法」のようなプロポーズに、押し切られてしまった。

北村「勉強することしか知らない私、ほんと、愚かでしたねえ」

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