会社に勤めながら自分で会社を立ち上げる
みんなの食事(6)
はじめまして! そして、お久しぶりです
こんにちは、もちゆかと申します。現在、一般社団法人Mealinkという法人で代表理事を務めています。2010年にスタートしたこのコミュニティには、"今日食べたものが明日の自分と社会をつくる"をコンセプトに、管理栄養士をはじめとする食に関心の高い大学生×社会人が所属し、食事の大切さや食事の持つ可能性を伝えるため、料理教室、プログラム・リサーチ等、様々な活動や事業をしています。学生団体として2010年にスタートしたMealinkも、今は法人となり、活動から事業へと少しずつ変化しています。
第1回~5回の連載では、学生時代に描いた夢を、就活期、社会人になってからもどんな風に続けてきたか。実際にはどんなことに悩み、キャリアを選んできたのかについて書いてきました。残り2回は、所謂、パラレルキャリアの期間を経験してきたことを中心に触れたいと思います。この連載を通して、「夢に向かうまでには、いろんなやり方があるのだな」「特別な才能や環境がなくても、時間をかければ形になっていくのだな」ということが伝わり、誰かの・何かのヒントに少しでもなることがあれば嬉しいです。
社会人2年目"やっぱり就職しよう"
就職活動をせず、専門学校へ行きながら個人事業主として独立した私は、社会人1年目の自分の選択は正しかったのかをずっと考えていました。そして専門学校を卒業した私は、取得した国家資格とは全く関係のない一般企業に就職することに決めました。周囲には大学卒業時から独立すると宣言していたので、自分なりのプライドもありましたし、1年で進路を変更すること自体、非常に悩みました。しかしそれ以上に、私は一度就職したほうがいいだろうと強く感じていました。
就職したほうが良いと思った理由はいくつもあります。勿論、金銭的な理由もありましたし、自分自身の社会人スキルがあまりにも、不足しているので一度就職したほうがいいのではという思いもありました。大学を卒業した時にはそこまで深刻に考えられていなかったのですが、実際に独立してみて1年間個人事業主として働くことで、そのことを痛感しました。
個人事業主としての仕事は、基本的には全体を把握し、具体的に動く事ができないとこなす事ができません。例えば、何か自分のサービスを誰かに届けたいと考えた時に、サービスを磨くだけではいけません。そのサービスがお仕事となるように人と繋がるコミュニケーションスキルや営業スキルも必要ですし、企画書や見積書を作成する事務作業のスキルも必要。請求書等を発行し年末には確定申告をして...その他にも沢山。先輩起業家の皆様に沢山お世話になりながら、なんとか一年間すごした私でしたが、この先に自分が伸びる姿を想像できませんでした。
最初から独立しても、うまく出来る人もいると思うのですが、私にはその自信がなくなってしまったのだと思うのです。結果、良くなる為のやりなおしなら、何度でもした方がいいと自分を励ましながら...私は一度企業に就職する事を決めました。
週4日の会社員にしてください
仕事や会社選びをするときは、様々な軸があるとおもいます。「やりがい」「どんな人と一緒に働けるか」「会社はどこにあるか」「働きやすさ」「休みが平日か休日か」等々...。私の選択軸の第一優先は勤務日数でした。当時の私は、数は多くないものの個人事業主として既に頂いているお仕事が幾つかありました。また、Mealinkの活動も継続していました。会社員になると決めたものの、週5日働いてしまうと今まで積み上げてきたものが継続できない。そこで私は「週4日働ける企業」という軸を一番軸に置き、自分でも働ける会社を探していました。
当時、学生時代の様々な活動を通して、頂いたご縁で幾つかの企業の方から、働かないかというお声をいただきましたが、基本的には、"週5日の正社員として来てほしい"と言われてしまい、断念せざるおえない企業がほとんどでした。しかし、以前からMealinkに協賛をしてくださっていた企業の方に、「週4日で働きたいのです...」と話すと、それを考慮した働きかたを提案して下さったのです。
勿論給与などは週4日分になるので、その分の稼ぎを他で作る等、自分で乗り越えるべき課題も多々あるのですが、なによりも大事にしたかった週3日は自分の仕事や活動をするということを許してくれる企業と出会えたのです。当時ほぼ社会人未経験の自分は、そんな贅沢をいえる立場ではなかったのですが、自分なりの譲れない軸を持ち、内心不安ながらも...「言ってみてよかったな」と、その時強く思ったことを覚えています。その後、結果として約3年半その企業にお世話になったのですが、最後まで働き方の相談に乗って下さり、今でも心から感謝しています。働く日時の調整にはじまり、パラレルキャリアは、周りの方の多大なる協力があってこそ、初めて"出来る"ものだと知った思い出でもあります。
会社員をしながらMealinkを法人化
出来る限りの有給を仕事に充てるなど、週4日会社員をしながら、週3日で個人事業主としての仕事やMealinkの活動を続けて、1年・2年と経っていく中で、今度は時間の限界を感じるようになりました。時間は作る物という風にも言われることも有りますが、やっぱり人生の時間は有限で、節目の際には、自分にとって大事なものを選ばなくてはいけないのだということを痛感していました。自分が将来なにをしたいのか、自分の魂を何に使いたいのか...。自問自答が続く中で出た答えは「Mealinkに自分の人生の時間を使いたい」「食の大切さや食が持つ可能性を1人でも多くの人と共有したい」ということでした。
当時参加していた、SUSANOOという起業家支援プログラムで出会った起業家・事業家の皆さんの影響も大きく受け、それまで任意団体として続けていたMealinkを法人化することに決めました。
既に、Mealinkは5-6年任意団体として成り立っていた組織だったので、わざわざ法人化しなくてもいいのでは?等、周囲からの賛否両論は勿論ありましたが、家族や当時の勤め先の社長、何よりもMealinkの仲間が背中を押してくれました。会社登記の手続きは、基本的には平日に動かなくてはいけないことが多いので、会社に勤めながら手続きを進めるのは、お休みのやりくり等が非常に大変だったことが記憶に残っていますが(笑)、無事に2016年8月31日(野菜の日)に、一般社団法人Mealinkとなり、私はそこで代表理事として活動を継続していくことになりました。そしてその約1年後、勤め先の会社を退職し独立、キャリアを再スタートしました。
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