長い行列は並んでみる ヒット商品生む最初のカギとは第13回 バンドワゴン効果

だからといって、いずれも激戦を戦い抜いてきた名店ばかり。味が極端に違うわけではありません(少なくとも私の舌では)。評判が評判を呼ぶバンドワゴン効果が働いているに違いありません。

実際に、旅好きや出張族の間では、「(地元民で)混んでいる店に入れ」「長い列を見たら並んでみよ」というのが鉄則になっています。確かな情報がない中では、バンドワゴンについていくのが最も賢明な選択となるからです。

しかも、有名店だと思って食べれば、前回紹介した「確証バイアス」が少なからず働き、本当においしいと感じます。噂が口コミやネットでどんどん広がり、それがさらにバンドワゴン効果を促進するわけです。

クリティカル・マスを超えられるか?

ここで多くの方が疑問を抱くのは、「どれくらいの賛同者を集めれば、みんなが雪崩を打って支持するようになるのか?」ではないかと思います。これを超えると一気に支持者が増えるという臨界量(クリティカル・マス)があります。それが分かれば、マーケティング活動や社会運動などにおいて、意図的にバンドワゴン効果を起こすことができます。

残念ながら、臨界量は分野や業界によって異なり、一般的にいくらと言うことはできません。理論的に計算することもできず、経験的に算出するしかありません。

たとえば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、パソコンなどの家庭用耐久消費財は、普及率が16%を超えたところで一気に普及が加速しました。そうなると、いずれ100%に達するようになります。

経営学者E・ロジャーズの「イノベーター理論」によれば、新しい製品に最初に飛びつくのがマニアックなオタク(革新者:2.5%)です。次に、その反応を見て、新しいものを自慢したがる人(初期採用者:13.5%)が手を伸ばします。彼らがインフルエンサーとなり、さまざまなチャネルで発信することで、商品の価値が世の中に広く伝わります。

そうすると、時流に乗り遅れまいと、バンドワゴンに乗る人(追随者:68%)が殺到するようになります。最後に、新しい物に抵抗を感じる保守派(遅滞者:16%)も乗らざるを得なくなります。

つまり、16%の壁(キャズムの溝)をどう飛び越えるか、初期採用者から追随者への橋渡しが重要な鍵を握っています。そこに知恵を絞るのがマーケッターの大切な仕事となります。