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AIは仕事を奪わない! 協働で高まる「創造性」 『HUMAN+MACHINE 人間+マシン』

2019/2/4

膨大なデータを高速学習し、高度な判断を行うAIプログラムのアルファ碁がプロ棋士を破るレベルにまで達した昨今。AIやロボットが人間の仕事を奪う、という脅威説はちまたをにぎわしている。

しかし「AIやロボットは脅威ではない」ことを示しているのが本書『HUMAN+MACHINE 人間+マシン』。人間とマシンが協働することで飛躍的なビジネス変革が起きる事例や、協働のために必要になる具体的なスキルについて解説している。著者はアクセンチュア最高技術責任者兼最高イノベーション責任者と同社のリサーチマネジング・ディレクター。

■人間+マシンの相乗効果

現在、人間とマシンの関係から「新しい仕事」が生まれているという。それは人間とマシンのハイブリッドな活動が求められる「ミッシング・ミドル」と呼ばれる業務領域において必要とされている。

本書によるとミッシング・ミドルは「人間によるマシンの補完」と「AIによる人間へのスーパーパワーの付与」に大別できる。例えば前者であれば、テスラの自動運転の開発が挙げられる。日々の運転データを教師役のユーザーから集め、それをAIが学習し改善をはかるように、訓練するプロセスは人間が行う。

スーパーパワーの付与の例には、ロボットと人が隣同士で車を生産するBMWの工場の協働システムがある。手首を痛めやすい部品の取り付けなどは、人間が位置決めをし、センサーとAIで接触事故を避けるロボットが代わりに作業を行うのだ。マシンとの協働でスーパーパワーを得た人間は、一ラインでの多品種製造など、より革新的なことに注力できる。

■マシンと協働するための重要原則

AIマシンと協働する際の重要原則が、マインドセット、エクスペリメンテーション(実験)、リーダシップ、データ、スキルである。著者らはこの頭文字をとって「MELDS」と示している。

例えばエクスペリメンテーションは、AIとそれを活用した業務プロセスの実験、すなわちトライ&エラーを重視するものだ。スウェーデンの大手銀行SEBは、100万人の顧客と直接対話するAIアシスタント「アイーダ」を導入しているが、その前に長い時間をかけて、大規模な実験を行ったそうだ。同行は、まず従業員を実験台に成果を得るまでテストをし、導入後はAIの学習状況や運用監視、活用拡大を担う従業員のスキル育成にも注力している。

人間にとって負荷の高い機械的な作業が減れば、仕事に人間性と創造性を取り戻せるだろう。AIとの協働は、高齢化と労働力不足が本格化する日本にとって、むしろチャンスだ。老いも若きも、新たにスキルを学びなおす時が来たようだ。

今回の評者=鵜養保
情報工場エディター。新生銀行グループで事業戦略の立案・実行に携わる傍ら、8万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」エディティング・チームにも参加。東京都出身。

HUMAN+MACHINE 人間+マシン: AI時代の8つの融合スキル

著者 : ポール・R・ドーアティ, H・ジェームズ・ウィルソン
出版 : 東洋経済新報社
価格 : 2,160円 (税込み)

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