ライフコラム

ニッキィの大疑問

介護人材不足、解消できる? 外国人活用は課題山積

2019/1/14

――外国人材の活用は進んでいるのですか。

現時点では08年に始まった経済連携協定(EPA)による受け入れがあります。これまでインドネシア、フィリピン、ベトナムから累計約4300人がこの仕組みで入国していますが、最終的には介護福祉士の資格を取得しないと帰国しなければなりません。資格取得者は今のところ700人余りです。17年からは外国人技能実習制度による介護職の受け入れが始まりましたが、10月末時点で約250人にすぎません。いずれの制度も国際協力などが制度の本来の目的であり、本格的な労働力確保策にはなりません。

――今後、外国人材に期待できそうですか。

先の国会で労働力としての外国人の受け入れを拡大する改正入管法が成立し、19年4月から新制度が始まります。政府の粗い推計では介護分野は当初5年間で5万~6万人が入国するとしており、業種別では最多です。しかしこれまでにない数の外国人を受け入れて、日本語教育などの環境整備が追いつくのかなど課題が山積しています。

さらにアジアでは先進各国による人材の争奪戦が始まっています。魅力ある職場や生活環境を用意できなければ、日本を選んでもらえないという懸念も強まっています。今のままでは足りない介護職を外国人に頼るのも難しいかもしれません。当面は日本人の人材確保対策の拡充やロボットの活用などによる省力化など考えうるすべての手を打っていく必要がありそうです。同時に要介護者をできるだけ減らすための健康づくり、介護予防対策も求められます。

■ちょっとウンチク

財政面でも心配、負担増へ

介護については人手不足という問題のほか、財政面での心配も大きい。

介護保険制度を通して使う費用は2018年度で10兆7千億円。これが政府の推計によると、40年度には25兆8千億円にまで増える。現在の2倍以上になる計算だ。社会保障全体の中で見ると、必要な額が大きいのは年金や医療だが、伸び率では介護が最も大きい。

費用が増えれば負担も増える。65歳以上の月額保険料は18年度の約5900円から40年度には9000円ほどになるという。40歳以上の人が健康保険料などと合わせて払っている介護保険料も大きく伸びる。(編集委員 山口聡)

■今回のニッキィ
阿部 美香さん 日本語ボランティアをしている。2020年の東京五輪でも都市ボランティアと大会ボランティアの両方に申し込んだ。「少しでも日本と外国の方との橋渡しをしたいと思います」

海老沢 亜希子さん ウィーン・フィルのメンバーらによるコンサートを心待ちにしている。初鑑賞の2018年には「ラデツキー行進曲」に心が弾んだ。「ウィーンに旅した気分になれます」

[日本経済新聞夕刊 2019年1月7日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。

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