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暮らしを変えた立役者

ピザから有害物質・金融損失…社長交代「好機」と決断 「サイゼリヤ」創業者 正垣泰彦氏(12)

2019/1/11

中国の人のためになっていないから、サイゼリヤの値打ちがないんじゃないかと思い悩みました。中国のメニュー表を眺めながら日本の1号店を思い出し、「何もしないよりは気分がいいじゃないか」と指示しました。

■大胆な値下げを敢行

基準は地方から集団就職してきたアルバイトが食べられる価格。なら、決まった。「どれも5~7割引きにしよう」。パスタは9元(1元=現在は約17円)、サラダが6~10元と日本よりも大幅に安い。これなら来てくれるはずでしょう。

値下げ後、お客さんはどうかと聞くと、「さっぱりです」との答え。おかしい。「ちゃんと言うとおりにしたか」と聞くと、すみませんと謝ってきました。うまくいかないと思って4割引きしかなかったのです。

ちゃんと5~7割引きにすると、行列が並び、一日中満席になりました。創業時の苦しい時に価格を7割引きにするとお客さんが殺到したのと同じ状況です。今や中国の店舗数は400店舗近く。やはり、もうかると思ってやると失敗し、お客さんのためにやるとうまくいくものですね。

■相次ぐ苦境にもめげず

日本の事業も好調でしたが、900店舗に迫っていた08年に問題が起きました。ピザから有害物質メラミンが検出されたのです。緊急の取締役会議。「全部本当のことを言おう。逃げ隠れしないで、真正面からぶつかって質問に全て答えよう」と決め、弁護士からの想定問答を見ずに記者会見に臨みました。

悪いことがさらに重なってしまいました。リーマン・ショックでオーストラリアドルを巡るデリバティブ(金融派生商品)契約で、09年8月期に約150億円の損失が見込まれることが判明しました。

ですが、私は落ち込んでいませんでした。むしろ「社長を堀埜さんに引き継げるタイミングが来たぞ」と前向きでした。最悪の時に辞めれば、新社長が何をやっても悪く思われない。思い切って会社を変えられる。悪い時を乗り越えて成長してきましたから。今回も信じていました。

最高のチャンス到来だ!

[日経MJ(流通新聞)2018年5月16日付]

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