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サイゼリヤは農業や牧畜が盛んな豪州に調達の手を広げた。写真はイメージ=PIXTA

サイゼリヤは農業や牧畜が盛んな豪州に調達の手を広げた。写真はイメージ=PIXTA

イタリア料理店「サイゼリヤ」を創業した正垣泰彦(しょうがき・やすひこ)氏の「暮らしを変えた立役者」。第11回ではオーストラリアでの食材調達に動いた当時を振り返ります。

◇  ◇  ◇

ミラノ風ドリアを480円から290円にした影響は大きかった。牛丼業界が感化されて激しい値下げ競争の火付け役になりました。単純な値下げではなく、一番売れている商品の価格を一気に引き下げたので、お客さんはあふれるように来てくれたんです。

安い価格をどうすれば維持していけるか。日本という枠を取っ払って地球規模で考えた時にひらめきました。「オーストラリアはどうか!」。北半球と南半球に加工工場を持っていれば季節が違っても安定的に食材を調達できるし、海外進出した時にも運びやすいのではないだろうか……。

組合対策に豪州政府も奔走

さっそくオーストラリアに行って、政府と直接交渉して土地を探しました。メルボルンに40万坪の土地があるとの情報を聞いてさっそく見にいくことに。日本とは比べものにならないほど広大な敷地に、「1万店になっても対応できるな」と安心しました。

ところが、建設に着手しようとしたら雲行きが怪しくなりました。「うちの労働組合に入るよな」。他の組合と付き合おうと思っていたので断ったら、工事をボイコットされたうえ敷地まで入れないようにされました。労働組合が強いとはいえ、ここまでやるのかと知識不足を反省しました。

そこでニュージーランドにちょうど土地を持っていたので「工場を作ってやる!」と方針変更です。

ニュージーランドに出向いて政府と交渉したら、どこから聞きつけたのかオーストラリア政府が慌ててやってきました。「政府が組合を説得するから、頼むからオーストラリアで工場建設を進めてくれないか」。政府が解決に乗り出してくれるならと了承して戻ったのですが、またすぐにストライキが始まったのです。

「これは、どうにもならないなあ……」。裁判に訴えるものの時間はたつばかり。しまいには工場建設が難しいんじゃないかと株価も下落。ストライキが何とか解消した後、遅れを取り戻そうと日本の協力会社から優秀な技術者が駆けつけてくれました。

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