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「祈り」と題した手紙に書かれたメッセージを社内に飾った

「祈り」と題した手紙に書かれたメッセージを社内に飾った

イタリア料理店「サイゼリヤ」を創業した正垣泰彦(しょうがき・やすひこ)氏の「暮らしを変えた立役者」。第10回では株式公開の当時を語ります。

◇  ◇  ◇

「万が一の時を考えて、リスクは分散した方がよろしいんじゃないですか」。上場が近づくとメーカーや卸から株式の一部を引き受けさせてほしいとの打診が何度もありました。

ただ、株主になってもらうと取引にしがらみが生まれる。「リスクは全て背負うので結構です」。不安や怖さもありますが、創業から地獄ばかり見てきたので多少のことが起きてもへっちゃらという気分でした。

店頭公開の当日に母から手紙

1998年4月、株式を店頭公開する当日。家を出ようとした時に、母親から「これを読んで行きなさい」と手紙を渡されました。祈りと題した手紙には、

大きなことを成し遂げるために

力を与えてほしいと神に求めたのに

謙遜を学ぶようにと弱さを授かった

と、手書きで書かれていました。株式公開することは伝えていなかったんだけど、何か態度がよそよそしいと思ったんだろうね。

学生時代に始めた店舗がすぐ全焼し、1階が青果店の立地でつぶれかけても上場までたどり着いた。散々苦労した身には上場はオリンピックの金メダルの瞬間ですが、苦労を忘れずどんな嫌なことも自分のためだから有頂天になるなと戒めてくれたのです。ふんどしを締め直しました。

上場で株式の一部を社員に与えることになりました。残業代を満足に払えないでいましたから。売却すれば、残業代の何倍にもなる資産ができるように配分しました。創業当時の給与は他業界の半分程度。水準を引き上げてきたとはいえ、まだ追いつかない。「必ずちゃんと幸せな生涯設計ができる給与水準にする」。社員に約束しました。

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