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社員にも視察旅行を通じて本場のイタリア料理の良さを体験させた(左が筆者)

社員にも視察旅行を通じて本場のイタリア料理の良さを体験させた(左が筆者)

イタリア料理店「サイゼリヤ」を創業した正垣泰彦(しょうがき・やすひこ)氏の「暮らしを変えた立役者」。第8回では急成長し始めた時期を振り返ります。

◇  ◇  ◇

「コックをどうするかな」。1千店舗まで増やせると確信したものの、店長とコックを育てなければ、運営はできません。動線が同じ店舗で同じメニューを展開していけば、教育するのは簡単。ですが、技術を持ったコックを1千人も集めるのはとても大変なうえ、コストもかかります。

「安い価格でおいしい料理を出し続けるにはどうしたらいいだろうか」。今のセントラルキッチンでまとめて調理にするにも量に限度があるうえ、管理の目も行き届かない。そこで1つの解決法が浮かびました。メーカーへの調理の委託です。実現できれば、コックの腕を鍛えなくても品質が一定になり、安くておいしい料理ができるのでは!

大手食品メーカーに「下ごしらえ」を依頼

「うちの商品を作ってくれませんか」。早速、味の素などの大手にお願いに行きました。最初は何者だと不審顔。もちろん、反応は想定内です。ふふふ。ちゃんと口説き文句も用意していました。

「サイゼリヤさんは何店舗まで増やすつもりなの?」。こう尋ねられました。100店舗とか200店舗とかの答えを待っていたのでしょうが、そんな模範解答には収まりません。

「1千店舗まで店を増やしてみせます。会社が大きくなったら、たくさん発注しますから」

数店舗しかないチェーン店が何を言っているんだと思われたことでしょう。それでも心意気が通じたのか取引に応じてくれました。

調理を委託するといってもメーカーに全て作ってもらっては、味のノウハウが漏れてしまう。リスクがあると思い、任せるのは完成品の手前まで。最後は店舗の厨房で仕上げることにしました。多店舗化へ体制が整ってきましたが、本音ではいずれ自前の工場がほしい。今のうちに人材のスカウトに動き出しておこうと考えました。

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