営業トークで「ツカミ」より注力すべき2つのポイント第7回 ピークエンドの法則

なかでも思い出しやすいのがピークとエンドです。この2つを手掛かりとすれば、頭をさほど使わずに済み、楽に決めることができます。

私たちは、ピークとエンドの印象で過去の経験を判断しがちです。これが行動経済学者D・カーネマンの「ピークエンドの法則」です。単なる経験則ではなく、こんな実験で検証されています。

冷たい水に数分間手をつける、騒音にさらされるといった、不快な体験をしてもらいます。それと、終了前に少し不快さを緩和させた体験を加えたものと、どちらがマシかを比較してもらいます。

すると、時間が少し延びたために、不快さの総量は増えているにもかかわらず、多くの人は後者のほうが不快さは少ないと感じます(エンド効果)。他にも数多くの実験がなされており、誰しもが持っている思考の癖の1つであることが確かめられています。

話のつかみよりもオチが大切

ピークエンドの法則が分かったところで、これをビジネスにどう生かしていけばよいのでしょうか。私は、プレゼンター、講師、営業マンなどに話の組み立て方を指導する場面がよくあります。すると「うまい入り方を教えてください」という要望をしばしばもらいます。

たしかに、話や話し手の印象は、出だしの部分で決まり、それが後の話の受け取り方に影響を与えます。「初頭効果」と呼びます。最初に相手のハートをガッチリとらえ、内容に興味を持たせれば、後の話を真剣に聞いてくれるようになります。いわゆる「つかみ」です。

ところが、つかみほど難しいものはありません。互いの心模様がよく分からず、関係性も十分にできていないうちに、一発勝負でつかみを取りにいかないといけないからです。すべって動揺してしまうと、かえって印象が悪くなってしまいます。いわば危険な賭けです。

だったら、つかみはあっさりと放棄して、さっさと本題に入ってしまうほうが、失敗のリスクが低くなります。とにかく話を始め、様子が分かってきたら、少しずつ盛り上げていけばよく、ピークがしっかりしておればまったく問題がありません。どうせ相手はそれしか覚えていませんから。

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