化粧品で広げる「美」の文化 販売店絞り希少性演出
アルビオンの小林章一社長
アルビオンの小林章一社長
化粧品大手のアルビオンが元気だ。「アルビオン」や「イグニス」など高価格帯の商品が売れ、業界でも屈指の利益率を誇る。小林章一社長は「経営理念の実現が大事。販売店は絞り込む。ものづくりも原料からこだわり、他にないブランド作りを徹底する」と成長の秘密を語る。
文化なければ存在価値ない
――業績好調ですね。
「2018年3月期の売上高は600億円台後半くらいになると思いますが、150億円くらいはインバウンドなんです。だから社内には150億円はおまけで、うちは500億円企業だと言い聞かせています。会社の評価は日本人のお客様作りで評価しています。伸び率は3%ですね」
――店舗数を減らしながら成長するという相反する方法ですね。
「企業は文化が大事で、それがなければ存在価値も意義もない。西武百貨店(現そごう・西武)を経て1988年にアルビオンに入社するとその文化がちょっと見えなくなっていた。当時は店舗数を拡大して売り上げを増やすことが目的化していました。そうではなく高級品専門メーカーとして『美しい感動と信頼の輪を世界に広げる』という理念を実現する会社になるべきではないかと」
「99年の営業本部長時代に全管理職の集会で『今の3400店を1800店にして売り上げを倍にします』と言ったんです。社内は『宇宙人が急にやってきた』という評判だったそうです。それまで新店を開けろが一転、とにかく減らせですから。売上高の評価を半分にして、解約店目標を与えました」
――よく経営トップが許しましたね。
「当時の社長(現・会長)はごちゃごちゃ言いますよ。でも『アルビオンは絶対良くなるから』と説得して納得頂きました。99年から減らし始め、08~09年までかかりましたね。返品が増え、特損も出しましたが」