「究極の個人情報」と言えるカラダにまつわるデータ。潜在的な価値を見いだした多くの企業が、膨大なデータの収集に乗り出した。本特集は各社のデータ収集方法、活用方法に着目し、健康パーソナルデータ新市場の可能性を探る。第1回は健康アプリ「FiNC」が取り組むデータ収集戦術に学ぶ。

健康管理アプリ「FiNC」。歩数、体重、睡眠などのデータをグラフで表示。ユーザーが気にしている項目に関連した動画などのコンテンツをAIが自動抽出して表示する機能もある
健康管理アプリ「FiNC」。歩数、体重、睡眠などのデータをグラフで表示。ユーザーが気にしている項目に関連した動画などのコンテンツをAIが自動抽出して表示する機能もある

 「(目標)歩数を達成するとAI(人工知能)のキャラクターが褒めてくれたり、励ましてくれたりするのがうれしいです」。東京都内に住む32歳の女性会社員は半年前から健康管理アプリ「FiNC」を利用している。時にはアプリ上で配信されるトレーニングの動画を見ながらエクササイズをすることも。使い続けている理由は「AIが褒めてくれるし、歩数や体重の変化をグラフで確認できることですね」と語る。

「継続促す方法」が難しい

 アプリを開発しているのはFiNC Technologies(東京・千代田)。2017年1月から配信を開始し、ダウンロード数は400万件に達し、月に約100万人が利用するという国内トップクラスの健康管理アプリに成長した。代表取締役CTO(最高技術責任者)の南野充則氏は「アプリを継続して使ってもらうことが一番難しい」と話す。

 なぜ「継続利用させること」が乗り越えなければいけない壁なのか。その背景には、ヘルスケア関連のサービスでは、一度ブームとなりながらも数年もたたないうちに下火となった過去の例がある。

 14年から15年にかけて、歩数や心拍数を測定できる活動量計のブームが起きた。米フィットビットや米ジョウボーンが相次いで新製品を投入。IoTの先進機器を体感できるとあって、どこか誇らしげにカラフルなバンドを腕に巻くビジネスパーソンが急増した。

 現在では、それら活動量計を身に着ける人も少なくなった。歩数の測定はスマートフォンで代替できる他、「Apple Watch」など競合も登場した。電池交換や充電の手間がかかり、記録したグラフを見るだけでは単調で飽きてしまうという問題もあった。

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