商品増やせば売り上げは減る 人の心の意外なカラクリ第5回 アイエンガーの法則

つまり、それぞれの数字を掛けあわせると60%×3%=1.8%と40%×30%=12%で、実際にジャムを買った人は、6種類だけ並べたほうが7倍近く多いことになります。選択肢が多すぎると、かえって決定を回避したり先延ばししたりしてしまうのです。

これを「選択(決定)回避の法則」と呼びます。この実験が有名になり、「アイエンガーの法則」や「ジャムの法則」と称されることもあります。なぜ、こんな傾向が見られるのでしょうか。

31種類ものアイスがあるワケ

アイスクリームのような商品は種類が多いことで選ぶ楽しみを生む。画像はイメージ=PIXTA

一言で言えば、考えるのが面倒、場合によっては苦痛になるからです。複雑な判断をせまられ、どれが最適か分からなくなり、決定を先延ばししようとするのです。そのことで不利になるとしても。

「難しく考えずにエイヤー!で決めればいいじゃないか」と思われるかもしれません。ところが、それだと、あまりよくない選択肢を選んでしまう恐れがあります。

買った後で、「やっぱりあちらを選んでおけば……」「選択を間違ったかも」と後悔するかもしれません。自分が傷つかないためには、とりあえず決定を回避するのが、心情的には理にかなっているのです。

ただし、いつもこの法則が成り立つとは限りません。たとえば、ジャムの熱狂的なマニアが1個1万円もするレアもののジャムを選ぶのであれば、選択肢が多いほうが購入につながるはず。某アイスクリームチェーンを見ても分かるように、たくさんあるほうが選ぶ楽しみが味わえます。

家や車といった高額の商品でも、決定にかけるコストと得られるリターンを考えれば、「選ぶのが面倒」とはならないはずです。企業が新たに採用する人を選ぶときも同じです。

つまりこの法則は市販のジャムのような、安価な食品や日用品に通用するのであって、趣味性の高い商品や高額の商品には通用するとは限りません。単純に「選択肢を減らせば売れる」と思わないようにしてください。

選択回避を回避するには?

この法則を知っていても、実際には商品の絞り込みは難しいものがあります。競合商品との対抗上必要なものもあれば、ラインアップとしてそろえておきたい商品もあるからです。

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