間違いなのに全員同調 「メダカ会議」の怖さと対処法第3回 同調性バイアス

集団の一員として「受け入れられたい」「大切にされたい」というのは人間の根源的な欲求の一つです(社会的欲求と呼びます)。そのために自分の意見を変えることくらい何でもないのです。

意見を一斉にオープンにする

だからといって、同調が減らせないわけではありません。会議を例にして対策を紹介することにしましょう。

ここでもう一度アッシュの実験を思い出してください。順番に意見を披露するから、後の人が同調せざるをえなくなるのです。全員が同時に意見を言えば、同調できなくなります。

たとえば、付箋に自分の意見を書いて、一斉にオープンするのはどうでしょうか。みんなの意見をおもんぱかって書く人がいないとも限りませんが、一人ずつ述べるよりは、はるかに同調が減ります。

実際にある企業では、取締役会であまりに社長や多数派への同調が多いので、役員全員にイエス・ノーの札を配るようにしました。提案内容の説明の後、どちらかの札を全員で一斉に上げてから、議論に入るようにしたそうです。

少人数で話し合うのもよい方法です。3人以上から同調が強くなるからです。とはいえ、大人数で話し合うからこそ、いろんな知恵が集まり、「みんなで決めた」という納得感も得られます。

だからといって、常に全員で議論する必要もありません。「隣に座っている人と2分間意見交換をしてください」とやれば、自由に意見が出しやすくなります。その上で、「どんな意見が出たか披露してください」とやれば、多様な意見が集めやすくなります。

もう一つ見逃せないのが、少数派を1人にしないことです。あえて違う意見を言う人(デビルズアドボケート=悪魔の代弁者)を置いておくと、心の中に秘めた意見が言いやすくなります。「全員一致は不採用」というルールにして、わざと反対意見を述べるようにするのもよい方法です。

同調を減らすことは、集団主義である私たち日本人の大きな課題です。まずは、居酒屋の注文の仕方を変えるところから、始めてみてはどうでしょうか。

堀公俊
日本ファシリテーション協会フェロー。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカーで商品開発や経営企画に従事。1995年からファシリテーション活動を展開。2003年に日本ファシリテーション協会を設立、研究会や講演活動を通じて普及・啓発に努める。著書に「ファシリテーション入門第2版」「会議を変えるワンフレーズ」など。

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