資格試験も賭け事も 傷を深くしない引き際の見つけ方第2回 サンクコストの罠

逆に「せっかく買ったのにもったいない」と思って2時間我慢して読み続け、やっぱり期待したものが得られなかったとしたら、損失を2時間も積み増すことになります。それだけの時間があれば、別の本を読むなど、もっと楽しいことに費やせたかもしれないのに。

ギャンブルも引き際が肝心だ。画像はイメージ=PIXTA

このように、私たちはどうしても、過去に失って取り戻せないコストを合算して現在の判断をしがちになります。これを経済学では、「サンクコスト(sunk cost)の罠(わな)」(埋没費用の誤びゅう)と呼びます。現在の費用対効果だけを考えないと、合理的でない判断を下してしまう恐れがあります。

典型的なのがギャンブルです。負けが込めば込むほど、今までの負けを取り戻そうと、どんどん傷口を広げてしまいます。受験、転職、転居、結婚など、人生のなかでもよく起こる現象です。

不採算事業をやめられないワケ

サンクコストの罠は、個人のみならず組織でもよく見られます。有名な事例として、コンコルドの話を紹介しましょう。

コンコルドは、英国とフランスが共同開発した超音速旅客機です。通常の飛行機の2倍のスピードを誇り、開発当時は夢の旅客機とも呼ばれていました。

ところが、困難な開発に膨大なコストがかかった上に、燃費がとても悪く、機体の構造上100人しかお客が乗せられません。開発段階から、商業的に成功することは不可能だと、みんな分かっていました。

それでも、開発はやめられず、わずか20機だけ生産され、路線を限定して定期運航することになりました。強引に事業をスタートしたものの採算が合うわけがなく、膨大な赤字だけを残して、2003年に運航停止となりました。

この逸話から、サンクコストに惑わされて、不採算の事業をやめられないことを、「コンコルド効果」と呼ぶようになりました。皆さんの会社にも似たような話はないでしょうか。

特に、組織の場合は、「中止したら誰かが責任を取らないといけない」といった責任問題が発生します。「俺の顔に泥を塗るのか」「専務の経歴に傷をつけるわけにはいかない」といったプライドの問題もあります。余計に後に引けなくなってしまうのです。

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