大阪は、なぜ海外旅行者の増加率が世界一なのか?
第6回 認知転換アプローチ
大阪を訪れる海外旅行者の増加率は世界一。画像はイメージ=PIXTA
今、大阪が大変なことになっている
当方、関西に居住しているのですが、「大阪や京都のホテルがまったく取れないけど、どうなっているの?」という連絡が頻繁に届くようになりました。そうなんです、今、関西にはアジアをはじめ外国人観光客が押し寄せて、大変なことになっています。
米マスターカードが2017年9月に発表した調査によると、大阪は09年から16年にかけて、世界で最も海外旅行者数の年平均増加率が大きかった都市でした。年平均で24.0%増というから驚きです。こんな状況ではホテルが取れないのは当然。関西方面に出張や旅行の方は覚悟してください。
では、なぜこんなに外国人客が「爆増」したのでしょうか。一言でいえば、私たちが忘れがちになる関西の強みを外国人が再発見したからです。
たとえば、関西のお荷物とまで言われた関西国際空港。最新鋭の24時間空港なのに、中心街から遠いことが災いして、一向に利用が進みませんでした。
ところが、それを逆手にとって格安航空会社(LCC)が多数就航するようになると、外国人客が殺到するようになりました。遠いといっても成田よりは近く、海外からの渡航者にしてみれば、こんな便利な空港はありませんから。まさに「弱み」を「強み」に転換したわけです。
それに大阪・神戸は、ロンドン、パリに次ぐ経済規模(域内GDP)世界7位の大都市です。世界ナンバーワンの東京と比べるから見劣りするのであって、そんな都市に魅力がないわけがありません。しかも、京都や奈良という強力な助っ人も控えています。物事を、「相対的」に見るか、「絶対的」に見るかでイメージが大きく変わるわけです。
問題は自分がつくりだしている
事実と問題は違います。たとえば、「大阪には魅力がない」というのは事実ではありません。正しくは「大阪に魅力がないと『私は』思っている」です。「大阪に魅力がない」という問題を自分で設定しているのです。
私たちはたくさんの事実の中から問題を見つけ出します。事実を見たり聞いたりした後に、解釈、関心、意識、目的、価値観、信念、経験というさまざまなフィルターを通して、問題があると認識します。