3000人の避難所に2000人分の食料 配るべきか否か第5回 対立解消アプローチ

多くの問題は一人では解決できず、たくさんの人の納得と協力が必要となります。人が違えば考え方も違います。そこにジレンマを生みだす大きな要因があります。問題解決とは、とてもヒューマンな行為なのです。

つまり、問題がなぜ解決しないかといえば、ジレンマがあるからです。アイデアがあっても、あちらを立てればこちらが立たずとなり、すべてを満たす解決策が見つからないのです。

そのジレンマを解剖して、みんなが満足する解決策を考えよう。そのための一連の手法を「対立解消アプローチ」と名づけることにします。

このアプローチは、今まで紹介してきたやり方とは大きく違い、ダイナミック(動的)な取り組みとなります。相互に影響し合う複数の要素が連結しており、全体を満たす解を見つけないと解決に至らないからです。今までとは違って、システム的な発想が求められる問題解決となります。

このアプローチが威力を発揮するのは、言うまでもなくジレンマやトレードオフがあるときです。深刻な対立や利害関係がぶつかり合う際には心強い味方になってくれます。対象はモノでもコトでもヒトでもよいのですが、一番向いているのは、先ほどの事例のようなヒトがからむ問題です。

意見の裏にある本当の欲求は何なのか?

ジレンマを含んだ問題の最もスタンダードな解決法を紹介しましょう。交渉や調停で用いられる対立解消(コンフリクトマネジメント)法です。冒頭の事例を想像しながらお読みください。

まずは、互いの意見や主張を明らかにして、要求や得たい利益を明確にします。立ち位置(ポジション)をはっきりさせて、どこに対立があるかを特定します。イエス派は食料を配りたい、ノー派は配りたくないと。

実際の交渉では、相手に同意せずに理解することが大切です。互いに話をしっかり聞いて相手の背景を知り、相手の立場で理解するようにします。

次に、意見の裏にある本当の欲求(ニーズ)や関心(インタレスト)を探っていきます。なぜ、イエス派は一歩も譲れないのか。それは、落ち込んでいる被災者の方への思いやりかもしれません。あるいは、配らないと健康上の問題が発生するからかもしれません。

なぜノー派は配りたくないのか。本当の意図は、混乱や責任問題が発生することを避けようとする心理かもしれません。

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