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暮らしを変えた立役者

「独り占めするな」 母の教え心に、バイトにも退職金 「名代 富士そば」創業者 丹道夫氏(20)

2018/10/12

海外事業の詳細はよくわかりません。ただ、店を出して良かったなと思うことが1つあります。従業員に夢を与えることができるようになりました。富士そばの店が世界に広がれば、将来は海外で働けるようになります。

私には従業員から投げかけられた、忘れられない一言があります。「社長、私の将来はどうなるのでしょうか」。毎日そばをゆでて、20年後、30年後にどうなるのか。ステーキ店なら、ステーキが上手に焼けるようになるでしょうし、和食店なら刺し身を切れるようになるでしょう。

■アルバイトにも賞与や退職金を出すわけ

もちろん夢を語るだけでは今の若い人たちはついてきてくれません。外食産業にとって一番の経営課題は人手不足です。人口減少社会に突入し、賃金を上げても、なかなか人は集まりません。アルバイトや社員をこき使うようなことがあれば、それこそ噂はあっという間に広がり、企業として立ちゆかなくなります。

富士そばでは創業時から、額はわずかですが、アルバイトにも賞与や退職金を出しています。人手不足だから始めたわけではなく、自分自身の起業に至るまでの苦労と、1983年に83歳で亡くなった母の教えからです。利を得たいなら、「独り占めしてはいけない」と。

従業員が働きやすい環境を整えていくことも必要だと考えています。かつお節などを鍋で煮込んでつくるダシはずっと、店の従業員が前の晩から仕込んでいました。4年前、材料を入れるだけでダシができる装置を導入しました。1台あたり150万円を投じ、全店に入れることで従業員の負担を大幅に軽減することができました。

新しい装置の導入によって、手作業のときに比べてダシの味が安定しました。従業員の負担軽減と味やサービスの改善を両立させる取り組みは今後も続けていきたいと思います。

[日経MJ(流通新聞)2017年8月23日付]

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「暮らしを変えた立役者」は金曜更新です。

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