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シニアの旅行では記念撮影をこなす形になりがちだ。写真はイメージ =PIXTA

シニアの旅行では記念撮影をこなす形になりがちだ。写真はイメージ =PIXTA

「老後の破産を免れるため、定年までにいくら蓄えるべきか?」は男性週刊誌の「鉄板企画」なのだそうだ。かつて人気だった「お色気もの」をはるかにしのぐ「不安系」がおじさんたちの心に刺さる時代らしい。

各紙を拾い読みして、おおざっぱにまとめれば、「安心な老後」を手にするには「年金給付開始前に夫婦で最低3000万円、ゆとりを感じたいなら6000万円を蓄えておけ」ということのようだ。上手に書かれた「不安系の記事」に気もそぞろなおじさんをさらに追い込むように、記事の最後には大抵、ファイナンシャルプランナーのアドバイスが載っている。

「若いうちから無駄を断つという覚悟をしていただきたいですね。たとえば趣味や遊興費、交際費などに無駄がないか、日々の生活を徹底的にチェックして節約しましょう」

こういった記事を読んだ「不安性で真面目なおじさん」は、自堕落だったかもしれない我が人生を深く悔いて、今後の節約人生を心に誓ったりするのだろうか。

「おじさんだけじゃなくて、20歳代でさえ、今から老後の資金をためないと、とんでもないことになると、ビクビクしながら節約に努めている人が結構いますよ」

こう話すのは、私の長年の友人で、経済評論家の佐藤治彦さんだ。

蓄えるか、使うかの難しい判断

佐藤「でもね、梶原さん。老後が心配だからといって、人として一番元気で、遊びたい、モテたいという気持ちがマックスな『人生の華の時期』に、楽しみの全てを放棄して、節約に専念する毎日でいいんでしょうか?」

梶原「準備しておかなかったばかりに、定年退職後、数年で老後資金を使い果たし、夫婦で窮乏する。そんな惨めな事態を避けるには、若いときの楽しみなんて、どうでもいいんじゃないですか?」

佐藤「梶原さんね、実際には、3000万円以上の資産(自宅・金融資産の合計)を残して死んでいく高齢者ってけっこう多いんですよ」

梶原「ああ、もったいない。定年退職して、退職金ももらって、何となくその先の老後に見通しがついたら、節約シフトから楽しみシフトにチェンジすればいいのにねえ」

佐藤「せっせと働き、せっせと節約して、ため込むばかりの人は、そのシフトチェンジができないんです。なぜか? お金をためる努力はしてきたが、楽しく使う努力と訓練を怠ってきたからです。『さあ、ここからは節約なんか考えず、どんどん遊ぶんだ。お金使って楽しんじゃうぞ』と、ご本人が思っても、悲しいかな、それがまあ難しい」

梶原「えー!? カネさえあれば、若いときは行けなかった旅行とか、好きな芝居観劇とか、行き放題じゃないですか」

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