ここでは実現性や効果は一切考える必要はありません。夢物語でも無責任でもよいので、ありとあらゆる手を考えます。思いつかないなら、何でもできるとしたらどんなことが起こるか、一切の制約を取り払って考えます。これをミラクルクエスチョンと呼びます。あるいは、仲間を呼んでブレーンストーミングしてもらうのも手です。他人の経験が生かせると同時に、「できない」という思い込みを打ち破ってくれるからです。

そうやって集まった選択肢の中から、最後に実際の行動に移すものを選びます。かといって、前回の合理的決定アプローチのように効率性や投資効果では選ばず、「やりたいかどうか」「できると思うかどうか」が唯一の基準となります。一番しっくりくるものを選び、具体的なアクションプランに落とし込みます。もちろん、これで思う通りに痩せられるわけではありません。問題は完全には片づきませんが、解決に向けて着実に一歩前に進められます。

小さな変化は大きな変化を生み出すキッカケになり、何もしないよりは、状況を変化させることが大切です。そうやって少しずつ歩を前に進めていけば、いつかは大きな目標を達成できるかもしれません。そうやってポジティブに考えて進むのがこのやり方です。

うまくいったことを愚直に続けよう

ポジティブ・アプローチでは、「なぜ?」を考えるのはご法度です。できない理由よりも、できることを考えます。うまくいかない原因よりも、うまくいった事例を探します。何が足らないかではなく、どうすれば達成できるかに集中するようにします。

順調に進んでいることはいじらないことです。余計なことをせず、そのまま置いておきましょう。下手にいじると、せっかく順調にコトが運んでいるのに、かえっておかしくなるかもしれません。

その上で、うまくいったことを探して、とりあえず繰り返してみましょう。それなら、新たなアイデアも要らず、確実に成果も得られ、やる気も高まります。どんなささいなことでもよいから、うまくいったことを探して繰り返せば、いずれ大きな成功に近づく源となります。

逆に、うまくいかなかったなら、違うことをすべきです。うまくいかないことを、「もっと頑張れば」「次こそは」と繰り返すのは愚の骨頂です。同じやり方から違う結果は生まれてこず、それをガンバリズムでどうにかしようとするから難行苦行になるわけです。

うまくいかないことは、あっさりとやめてしまいましょう。その上で、何か違うことや、新しいことをやってみましょう。うまくいかないことを繰り返すくらいなら、何でもよいから変えてみる。数撃てば当たるで、そのうちうまくいくことが見つかるはずです。

いかがですか。案外、ポジティブ・アプローチって合理的な考え方だと思いませんか。なかなか解決できない問題で悩んでいたら、ぜひだまされたと思ってやってみてください。占いなんかに大枚を払うよりもよほどマシだと思いますよ。

(「日経Bizアカデミー」の記事を一部再構成)

堀公俊
日本ファシリテーション協会フェロー。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカーで商品開発や経営企画に従事。1995年からファシリテーション活動を展開。2003年に日本ファシリテーション協会を設立し、研究会や講演活動を通じて普及・啓発に努める。著書に「問題解決フレームワーク大全」「会議を変えるワンフレーズ」など。
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